ロヒンギャ難民キャンプの栄養不良問題
2025年の初め、バングラデシュのコックスバザールにあるロヒンギャ難民キャンプでの重度急性栄養不良に苦しむ子どもたちの数が急増しています。この地域は現在、世界最大の難民居住地となっており、約100万人のロヒンギャ難民が生活し、そのうち50万人以上が子どもです。
ユニセフ(国連児童基金)は、2025年2月の統計によると、重度急性栄養不良の子どもの数が前年同月比で27%増加したと報告しています。これは、緊急治療が必要な状況であり、多くの幼い命が脅かされています。特に、この状況は2017年にロヒンギャ難民が大量に流入して以来、最も深刻なものとされています。
昨年、ユニセフは12,000人もの5歳未満の子どもに救命治療を行い、治療を受けた子どもたちの92%が回復に成功しました。しかし、持続的な支援が断たれれば、再び命を落とす恐れがあります。
現状の深刻さ
2025年に入ってから、緊急の栄養不良ケース数は増加し続けています。特に1月には前年同月比で25%増の1,021件、2月にはさらに27%増の1,062件に達しました。この増加は、いくつかの要因が重なって引き起こされています。モンスーンによる長雨、衛生状態の悪化、重度の下痢症やコレラ、デング熱の流行、食料配給の削減が影響を及ぼしています。これら全ての状況が、失われた栄養状態の悪化と相まって、子どもたちの命に深刻な影響を与えています。
ユニセフ・バングラデシュ事務所の代表であるラナ・フラワーズ氏は、資金援助が減少している中で、必要な支援を提供することができる状況は限られているとの懸念を示しています。また、食料配給がさらに削減された場合、子どもたちの栄養状態はより一層悪化する可能性が高いとのことです。フラワーズ氏は、多くの母親たちが子どもたちの安全を不安視していると強調します。
希望の光
とある母親は、自身の娘がユニセフの診療所で栄養不良と診断され、数週間の治療を経て回復の兆しを見せたことを語っています。彼女は、母親として「子どもの健康を守るための支援が必要」と訴えています。
ユニセフは、資金面での厳しい状況にも関わらず、子どもたちへの支援を維持する決意を固めています。持続可能な支援がなければ、重要な支援サービスの提供が続かないことが懸念されています。フラワーズ氏は、国際社会に対し、ドナーからの支援を呼びかけています。彼女は、「我々は全ての人々と連帯し、難民の命を守らなければならない」と強調しています。
結論
ロヒンギャ難民キャンプの状況は深刻を極めており、国際社会の支援が切実に求められる時です。子どもたちの栄養状態を改善し、命を守るためには、持続的で強力な支援が不可欠です。ユニセフは今後も活動を続け、必要な支援を提供するための努力を惜しむことはありません。