持続可能な養殖業の未来を切り開く挑戦
スクレッティング株式会社(福岡市)は、2025年8月20日から22日に東京ビッグサイトで開催される「第27回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」に初めて出展します。この出展は、同社が国内で初めて水産養殖管理協議会(ASC)の飼料認証を受けたことを機に、持続可能な養殖業の重要性とその基盤である飼料のトレーサビリティについて広く知らせることを目的としています。
ASC認証取得の背景と展望
スクレッティングは2025年2月21日にASCの飼料認証を取得しました。これは、持続可能な水産資源の利用に向けた大きな一歩といえるでしょう。同社は、その独自の品質管理システムである「Nutrace(ニュートレース)」を駆使し、原料の調達から製品の提供に至るまでの履歴を追跡しています。ASCの飼料基準に基づき製造された飼料は、環境への配慮や社会的責任を果たした内容であることが求められます。
シーフードショーでの出展内容
今回のシーフードショーでは、スクレッティングがどのようにしてASC認証を取得し、そのプロセスでのメリットについて紹介する予定です。具体的には、実例を交えた個別相談会を実施し、リテーラー向けにトレーサビリティの重要性を訴求します。シーフード業界全体での責任ある養殖を支えるため、参加者が具体的にどのような取り組みを行えるかを考える良い機会となることでしょう。
水産業界の現状と課題
世界的に見ても、水産物の養殖業は急成長を遂げており、現在では世界の水産物生産の約6割を占めています。しかし、日本国内では漁業生産量が減少している現状があり、養殖の割合は約24%に留まっています。このような状況下で、養殖業の発展が求められているのですが、漁獲に必要な資源が枯渇しつつあるため、より持続可能な方法へとシフトする必要があります。
トレーサビリティの課題も無視できません。違法漁獲や現代の奴隷労働といった深刻な社会問題が絶えず指摘されており、持続可能性を確保するためには、どのような原料を使用しているかを透明にすることが不可欠です。また、植物由来原料の大豆を取り巻く環境問題、特にブラジルのアマゾン熱帯雨林の破壊についても考慮しなければなりません。
ASC認証の貢献
ASC認証は、責任ある養殖方法を評価する国際的な認証制度であり、持続可能性を訴求する新たな基準を提供します。この認証を受けた飼料は、環境や社会への配慮から構成され、特に児童労働や強制労働の排除、絶滅危惧種の不使用、森林破壊の回避が求められます。こうした取り組みは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも寄与するものであり、多くの関連する業界関係者が注目しています。
スクレッティングの役割と未来へ向けて
スクレッティング株式会社は、養殖飼料の製造販売を手掛けるグローバルカンパニーであり、ノルウェーに本部を構え、世界18カ国に展開しています。日本では佐賀県伊万里市にあるASC認証工場で、さまざまな魚のための飼料を製造しています。持続可能な養殖の実現には原料の責任ある調達が欠かせませんが、スクレッティングはその先駆者として貴重な資源となる魚粉の使用を低減する努力を続けてきました。
今後も、環境負荷を減らすための研究開発を行い、魚粉に依存しない代替原料の使用を進めたり、魚の健康を考慮した新たな栄養ソリューションを模索したりする予定です。持続可能な未来のために、スクレッティングの挑戦は続いていきます。