デリカフーズホールディングス、業務用野菜生産の新拠点を開設

デリカフーズホールディングス、一歩進んだ農業への挑戦

デリカフーズホールディングス株式会社（本社：東京都足立区）は、2025年の9月に熊本県玉名市に新たな自社農場「熊本農場」を開設し、業務加工用野菜の生産に乗り出すことを発表しました。この新たな農場の設立は、食料供給の安定を目指す同社にとって重要なステップです。デリカファーム株式会社として設立されたこの農業法人は、未来の子どもたちに安全で美味しい食材を届けるという使命を持っています。

農業への参入の背景

近年は異常気象や天候不順により、野菜の供給や価格が不安定になっています。2024年の猛暑によるトマト不足やキャベツの卸売価格の急騰が示すように、食料供給のリスクが高まっています。現状を打破するため、デリカフーズは「調達インフラの再構築」と「輸入野菜の国産化推進」を掲げ、農業への参入を決断しました。特に「業務加工用野菜」に特化し、生産の安定基盤を築くことを目的としています。

業務加工用野菜の魅力

日本国内の野菜市場において、家計消費用と業務加工用野菜の需要が存在します。業務加工用野菜は食品加工や外食産業で使用される食材で、特に利便性や価格安定性が求められます。具体的な特徴としては、形状や外観に対する基準が緩いため、生産者にとっては計画が立てやすいという利点があります。また、企業向けの大量取引が主なため、収入の安定が期待できる点も大きな魅力です。

熊本農場での生産計画

デリカファームが開設する熊本農場では、初年度に赤系トマトと種なしピーマンの生産に取り組む予定です。赤系トマトは通常のトマトとは異なり、加工に適した旨味の強い品種であり、種なしピーマンは調理の手間を軽減するため、業務用市場での需要が見込まれます。

この農場は、デリカフーズグループが持つ全国の流通網を活用し、直営の青果物の供給元となることを目指しています。11月には初の収穫を迎える予定で、食糧危機への備えとしても重要な役割を果たすでしょう。

持続可能な農業の未来

デリカフーズは、農業人口の減少や高齢化が進む中で、持続可能な農業の実現に向けた取り組みを進めています。2024年には大阪に冷蔵センターを開設し、供給の安定化を図ります。また、玉葱専用の工場も稼働予定で、業務加工用野菜の普及とともに、流通面でも支援を行っています。

将来的には新規就農者の支援にも力を入れる方針で、農業への参入障壁を減少させることを目指しています。デリカフーズが農業を通じて未来に向けた志を持ち続け、次世代への安全な食文化の継承を目指す姿勢は、今後の日本の農業界にとって重要な意義を持つでしょう。