金属3Dプリンタで社会インフラを進化させる
株式会社酉島製作所(トリシマ)は、最新の金属積層造形(AM)技術を駆使して、老朽化したインフラ用ポンプの修理を迅速に行い、さらにその寿命を延ばすことに成功しています。この技術革新により、社会インフラの持続可能性を高める取り組みが進められています。
納期短縮の実現
トリシマが採用した「一体型プロペラ」の技術は、兵庫県の河川排水ポンプ場で実際に試用され、ほぼ3分の1の期間である1.5から2か月での納品が可能となりました。従来の鋳造プロセスでは約6カ月を要していたため、この短縮は大きな革新をもたらしました。
安定した工期内の回復は、特に非出水期に行われる工事において重要で、迅速な再建が地域住民の安全にも直結しています。
インフラ整備の課題
日本の多くの社会インフラ用ポンプは、20年から30年が経過したものが多く、老朽化は深刻な問題となっています。分解検査を行った際に、初めて見る腐食や劣化が判明するケースが多く、そのための工期が逼迫し、依然として高額な修理費用が問題視されています。
鋳造プロセスの複雑さも一因で、木型の製作から始まり、多数の工程を要するため、納期が長引くことが常でした。トリシマの技術はこれらの問題を根本的に解決するものです。
ハイブリッドAM機の導入
トリシマが導入したハイブリッドAM機は、金属積層と5軸削り出しを一体で実現するもので、これにより以下の3つのイノベーションが生まれました。
1.
納期の大幅短縮: 木型を必要とせず、デジタルデータから金属粉末を直接溶融・積層。それにより、納期が最短で2週間に短縮されました。
2.
部品の一体造形: 従来は別々に製造し組み立てていたプロペラを、強度の高いステンレス鋼を使って一体で造形。これにより、多くの腐食リスクを一掃しました。
3.
超精密な再現: 3Dスキャンを利用して古いプロペラの形状を精密に測定し、忠実に再現しました。
品質試験による信頼性
トリシマは、学術機関との連携を通じて厳しい品質検証を実施しました。耐久性と耐食性試験を行い、製品の信頼性を確立しています。特に、腐食試験においては、従来の鋳造品に比べて圧倒的に低い腐食率を示しました。
環境への配慮
また、トリシマの技術はエコ製造にも寄与しています。ニアネットシェイプ技術により、材料の廃棄物はごくわずかで、持続可能な製造プロセスが実現されています。これにより、資源の無駄を減少させることができ、環境への配慮が強化されています。
今後の展望
トリシマは、この金属AM技術を全国に展開し、地方自治体やプラント管理者、さらには重要なポンプの修繕を行うさまざまな民間プラントに適用することを目指しています。「壊れたから丸ごと買い替える」のではなく、より効率的で効果的な修繕が可能な未来を築くことが、この技術の最大の目的です。
持続可能な社会インフラの構築に向けて、トリシマは今後も革新的な技術を推進していくことでしょう。
お問い合わせ先
株式会社酉島製作所
電話: 072-695-0551