英語学習の流暢さを支える定型表現の重要性とは

はじめに

近年、英語学習において流暢さの重要性が注目されています。特にアメリカ英語の話し言葉において使用される定型表現が、会話の流暢さに与える影響についての研究が進んでいます。その中で、早稲田大学の研究チームが行った調査によって、簡単でよく耳にする定型表現の効果が数値化されました。

定型表現の役割

定型表現とは、一般的に2語以上からなるフレーズのことを指します。例えば、「at the end of the day」や「to be honest」など、日常会話でよく使われるフレーズがその例です。これらは、スピーキングにおいてスムーズな発話を助けるだけでなく、聞き手の理解を促す役割も果たします。研究結果によると、スピーキングでこのような定型表現を正確に使用できる英語学習者は、流暢さが高いと評価されやすいとされています。

研究内容

本研究では、早稲田大学の瀧澤嵩太朗氏と鈴木駿吾氏が、スピーキングの流暢さと定型表現使用の関連性を探求しました。対象となったのは、日本人大学生110名で、彼らが英語で意見を述べるという自由なタスクを実施しました。録音した発話を分析することで、話し手の発話流暢性（話すスピードや沈黙の長さなど）と、2語連鎖の定型表現使用の影響を調査しました。

研究成果

調査の結果、聞き手が感じる流暢さは、話し手の発話流暢性と定型表現の使用によって大きく影響を受けることが明らかになりました。特に高頻度の2語連鎖を用いることで、聞き手が流暢さを高く評価することが確認されました。例えば、「I think it」といったフレーズを適切に用いることで、自信のある発話を感じさせることができます。

流暢さと聞き手の評価

流暢さは、発話スピードや言い淀みの頻度に加え、聞き手の直感的な評価によっても決まります。この研究は、スピーキングにおける流暢さが定型表現に依存していることを示し、例えばTOEFLやIELTSなどの試験においても、流暢さを向上させるためにはよく使われる定型表現の習得が効果的であることを示唆しています。

今後の研究課題

今回の研究結果は、スピーキングの流暢さを高めるためには、難しい表現よりも、簡単で日常的に使われる定型表現の活用が重要であることを述べています。ただし、流暢さ評価のメカニズムはまだ解明されていない部分も多いため、さらなる研究が求められています。特に、異なるタイプのスピーキングタスクへの定型表現の影響を調査することが今後の課題となるでしょう。