次世代の強磁性窒化鉄系磁石で車載モータの進化が加速する
2025年11月7日、三恵技研工業株式会社、株式会社ミツバ、株式会社Future Materialzが共同で開発した強磁性窒化鉄系磁石が、自動車産業に革命をもたらす可能性を秘めています。この新しい磁石は、強力で高効率な電装モータに最適でありながら、環境への負担を軽減する特長があります。
強磁性窒化鉄系磁石の概要
この磁石は、レアアースを一切使用せず、強磁性窒化鉄とサマリウム鉄窒素をナノコンポジットとして組み合わせることで実現されました。従来のネオジム磁石に匹敵する性能を持ちながら、安定した供給が可能という利点が評価されています。また、希土類元素不足による資源リスクを回避し、持続可能なサプライチェーンの構築にも寄与します。
開発の背景と意義
現在、家庭用電化製品や電動車両には多くのネオジム磁石が使われていますが、その供給の多くが特定の国に依存しているという現状があります。このため、資源供給の安定化や価格の変動リスクが大きな課題となっていました。そこで、強力なモータを必要とする自動車や家電の発展には、これらの課題をクリアするための新たな材料が求められています。
磁石の特性と製造方法
強磁性窒化鉄系磁石は、製造過程において圧粉と射出成形の両方に対応可能で、特定の用途に応じた設計が実施できます。例えば、強磁性窒化鉄系磁石は、モータの性能を最大化するために必要な磁気特性や形状を自由に設計できるのが大きな特徴です。
特に、FMCが開発した突出した耐食性や耐酸化性を持つ高純度の強磁性窒化鉄粉末を利用することで、高い品質の磁石が生まれました。そして、ミツバがこの磁石を用いて電装モータの性能評価を行った結果、試験片の計算値と実測値がほぼ一致することが確認されました。これにより、実用化に向けた信頼性も示されることとなりました。
今後の展望
強磁性窒化鉄系磁石は、電動車両や家電製品用のモータに組み込まれることで、より効率的かつ環境に優しい製品の提供が可能になります。この技術革新は、業界全体に持続可能な変革をもたらす重要なステップとなるでしょう。また、三恵技研、ミツバ、FMCの3社は引き続き材料の特性向上に取り組むことを表明しています。
結論
この新型の強磁性窒化鉄系磁石は、その性能と持続可能性から、電装モータの未来を大きく変える可能性を秘めています。今後の進展が楽しみです。