パーソルホールディングス、AIを活用した経営革新に挑む
2026年10月27日、パーソルホールディングス株式会社の岡田将幸(おかだまさゆき)氏が、日本経済新聞社主催の『日経デジタルフォーラム AIエージェント時代の経営戦略~AI Nativeな組織の在り方とは~』に特別講演者として登壇しました。このイベントでは、企業のAI活用がどのように行われているのか、またその結果がどう企業変革や財務成果に結びついているのかが議論されました。
「はたらいて、笑おう。」というビジョン
パーソルホールディングスは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、人と組織の成長に寄与する多様な事業を展開しています。このような企業理念の下、岡田氏はAI活用の進展とその限界について言及しました。特に日米のデータを比較し、日本企業がAIの導入には力を入れているものの、財務的な成果に結びつかない現状を明らかにしました。実際、生成AIの導入率は日本87%、米国90%とほぼ同じですが、財務成果の実現率は日本が27%、米国が61%で大きな差が存在しています。
岡田氏は、「AIは手段に過ぎない」と強調し、企業がAI活用を進めるだけでは変革は実現できないとの認識を示しました。AIを導入しただけでは、経営の目的や目標が変わらない限り、企業の体制や仕組みも根本的には変わらないためです。
AIファーストな事業モデルへの転換
この課題を乗り越えるために、パーソルグループは「AIファーストな事業モデル」に転換することを経営目的として設定しました。岡田氏は、効率化によって生まれる時間が利益に反映される前に失われてしまうという現実を共有し、非連続な変革が求められると訴えました。具体的には、AIによる生産性の向上(最大820万時間の削減、EBITDAへの貢献最大240億円など)を目標として明文化し、経営トップ自らAI施策の実行を推進している例を示しました。
古い企業OSの刷新
岡田氏の講演は、その内容の深さと明快さで参加者から高い評価を得ました。その中で、古い企業OSのまま新しいアプリ(AI)を稼働させようとすることがAI導入の失敗の要因であると指摘し、「軽トラックにF1エンジンを載せてもその性能は発揮できない」との比喩を交えました。業務プロセスや組織人材の領域での摩擦を解消するための手法についても具体的に解説し、効果的な人材計画の策定や承認プロセスの再設計など、AIと人が共存する時代に必要なアプローチを示しました。
組織の変革が競争力を生む
岡田氏は最後に、「AIの活用によって摩擦が発生しない組織は、変化がないか、現場の問題に気づいていないかのどちらか」と述べました。企業が競争力を高めるためには、過去の企業OSを疑い、AIを前提とした組織とビジネスモデルの作り直しを行う覚悟が必要であるとも強調しました。
講演者プロフィール
岡田将幸氏は、2009年に関西学院大学を卒業してから、パーソルキャリアに入社し、人材紹介事業の法人営業や新規事業の立ち上げに従事してきました。2024年に現在の役職に就任し、グループ全体のイノベーションを推進しています。その豊富な経験が、今回の講演にも色濃く反映されています。
イベント概要
日経デジタルフォーラムは、AIをテーマにした最新の経営戦略に関する情報が交換される場であり、今後も多くの企業にとって重要な知見を提供する場となるでしょう。