屋外コンサート周辺の騒音を構造で解決する新技術の紹介

屋外コンサート周辺の低周波騒音問題

屋外で行われるコンサートにおいて、低周波音が周辺地域に与える影響が深刻な社会問題になっています。特に、これらの音は非常に大きく、その範囲が広いため、周囲の住民の生活環境に大きな影響を及ぼしています。一方で、コンサート関係者にとっても、こうした騒音問題は興行を円滑に行う上での大きな障害となっています。

従来の防音対策は、騒音を遮るために施設の通気性を犠牲にする必要があり、換気や快適な熱環境を維持することが非常に困難でした。しかし、ここに新たな解決策が提供されます。前田建設工業株式会社とピクシーダストテクノロジーズ株式会社が共同開発した「iwasemi™通気遮音装置」がその解決策です。

iwasemi通気遮音装置の革新

この装置は、PxDTが持つメタマテリアルを基にした音響制御技術であるiwasemiを応用しています。iwasemiは、特定の周波数帯域の音波をピンポイントで制御できる特性を持っています。この技術により、屋外コンサートで特に問題となる低周波騒音を効果的に低減することが可能になります。

主な特徴は以下の通りです。
1. 高い遮音性能と通気性を両立 - 音を遮る一方で空気の通りを確保。
2. 素材と加工の自由度が高い - 様々な構造に合わせられる。
3. 柔軟な遮音帯域設定 - 施設ごとの音響条件に対応。

これにより、屋外コンサートやフェスといった開放型のイベントや、商業施設、スタジアム、工場などのオープニング構造への音を防ぐ導入が期待されています。また、今後さまざまな建材への展開も視野に入れています。

実証実験と今後の展開

現在、iwasemi通気遮音装置の基本性能はシミュレーションと実物大の実験を通じて確認されました。次のステップとして、実際の施設ごとに異なる音響条件や構造的制約を考慮したカスタム設計手法の確立を検討しています。

前田建設とPxDTは、どちらも都市空間の改善に向けて新たな技術開発に尽力しています。特に、メタマテリアル技術を駆使することで、持続可能で快適な環境を実現するための貢献を目指しています。