ゲーミフィケーションの未来を探るオンラインセミナーの報告

2025年8月28日、株式会社Sprocket（品川区）と株式会社セガエックスディー（新宿区）が共催したオンラインセミナー「DX・CXが進まない差別化・継続化が求められる時代の本音」が開催されました。このセミナーでは、企業の差別化に向けた顧客体験（CX）向上に必要な要素として、ゲーミフィケーションの重要性が議論されました。

セミナーの目的と概要

デジタルトランスフォーメーション（DX）や顧客体験（CX）の推進は、現代のビジネスにおいて重要なテーマですが、多くの企業が「CXの価値を理解しているものの、DXが進まない」といったジレンマに直面している現状です。本セミナーでは、隣接する業界の専門家が3名登壇し、それぞれの立場からゲーミフィケーションの役割や牛立案手法について議論を展開しました。

登壇者

- 深田浩嗣（株式会社Sprocket 代表取締役）
- 伊藤真人（株式会社セガエックスディー取締役執行役員COO）
- 友澤大輔（パーソルテンプスタッフ株式会社執行役員 CMO、モデレーター）

ゲーミフィケーションによるCX向上の実践事例

セミナーの前半では、Sprocketの深田氏が、ゲーミフィケーションを用いたCX向上の成功事例をいくつか紹介しました。たとえば、くら寿司の「ビッくらポン」や東急百貨店のバレンタインガチャ企画など、ゲーム要素を取り入れた体験が顧客を魅了しつつ、売上にも寄与していることを示しました。

「ゲーミフィケーションは単なるゲーム要素の追加ではない」と深田氏は強調し、ユーザーの目的とサービスの価値を結びつけることで体験を強化する方法が求められると説明しました。

人間心理に基づく体験設計フレームワーク

次に登壇した伊藤氏は、人間の心理に基づく体験設計の原則について詳しく解説しました。コモディティ化が進む市場において、機能だけでなく「使いたくなる」体験を設計することの重要性を訴えました。具体的には、同社が提供する「ゲームフルデザイン」というフレームワークに基づき、顧客の本質的な欲求にアプローチする手法が紹介されました。

DXの現在地と未来への展望

セミナー後半では、友澤氏がモデレーターとなり、パネルディスカッションが行われました。友澤氏は、現在の企業のDXが業務効率化にとどまっている現状を分析し、真の変革には情緒的な価値が必要であることを改めて強調しました。

深田氏は「AIエージェントが購買を行う時代には、顧客が『このサービスを自分で選びたい』と思うような情緒価値を創出することが重要」と指摘しました。さらに伊藤氏は、今後のマーケターの役割として、製品の機能ではなく「買う意味」を創出することが求められると述べました。