関西テレビ、AI技術で字幕制作の革新を遂げる
今回は、関西テレビがAIアシスタント「Lightblue」を活用して、映像制作の新たな地平を切り拓き、アジア太平洋放送連合(ABU)が主催する「ABU賞」を受賞したことをお伝えします。特に注目すべきは、AIを駆使した字幕制作プロセスが、コスト削減と高品質な成果物の実現を同時に達成した点です。
受賞作品の概要
受賞対象となったのは、女子マラソン選手・前田穂南選手の挑戦を描いたドキュメンタリー番組『Honami Maeda: A Life of Running』です。この作品の海外展開に際して、ディレクターは「Lightblue」と対話し、英語字幕を生成しました。日本語のナレーションの情感や意図をAIに伝え、複数の英訳の候補を精査することで、作品が持つ独特の雰囲気やメッセージを損なわないよう工夫しました。
例えば、「走る道」という日本語の表現については、「a life of running」や「the journey of a runner」といった複数の英訳案を提示し、どれが最も適しているかを比較検討しました。
独自のワークフロー
AIを使った字幕制作では、Avid Media Composerという業界標準の映像編集ソフトウェアから生成された日本語の文字起こしデータを「Lightblue」に取り込みます。AIは自動的に英訳を編集シーケンスに反映させるワークフローを確立しました。その上、667ページに及ぶキャプションデータを基に「前田穂南素材抜き出しマスター」を設け、AIが必要なシーンを瞬時に抽出することができるため、以前は1時間以上かかっていた素材探しを飛躍的に短縮しました。
この効率化により、編集者はより創造的な作業に集中できる環境が整い、従来の手工業的な翻訳プロセスに代わり、感情を的確に反映した高精度な字幕制作が実現したのです。
Lightblueの役割
今後、「Lightblue」は関西テレビの映像制作において重要なパートナーとしてAIを活用した新しい表現の可能性を支えていくことでしょう。法人向けAIアシスタント「Lightblue」は、一般社団法人や自治体向けにも厳格なセキュリティを備え、日常業務に寄り添って幅広いタスクを支援します。情報の高速検索や文書作成も可能で、業務の効率化に繋がります。
詳しい情報は公式サイトをご覧ください:
Lightblue公式サイト
株式会社Lightblueは、2018年に設立され、代表者は園田亜斗夢氏です。また、東京大学発のスタートアップとして、最新技術の開発に取り組んでいます。今後も映像制作や業務支援において、その存在感を増していくことでしょう。