リスキリングに関する調査結果の解釈
株式会社kubellは、2024年9月に国内在住の20〜50代の会社員1,203名を対象に、リスキリングに関する実態調査を行いました。この調査は、リスキリングの影響や認知度、実施状況を明らかにすることを目的としています。まず、調査の結果として非常に注目すべき点は、リスキリングを「知らない」と回答した人が64.4%に上ったことです。つまり、国を挙げてリスキリングを促進しようとしているにもかかわらず、過半数の人々がそれについて認識していないという結果が出ました。
リスキリングへの興味と取り組めない理由
さらにリスキリングの認知があったとしても、取り組んでいない人が40%に達していることも衝撃的です。参加者の多くは「学習時間の確保が難しい」と感じており、これが主な障害となっています。リスキリングに興味はあるものの、忙しい仕事の合間を縫って学習時間を捻出するのは容易ではありません。ほかにも「習得すべきスキルがわからない」「金銭的な余裕がない」といった理由が挙げられ、学びを追求する意思があっても、環境や資源に制約があることが明らかになりました。
成果を実感するリスキリング経験者
インタビューでリスキリングに実際に取り組んだ人々の91.6%が「取り組んで良かった」と答えている点は、ポジティブな光が見えます。特に、38.9%の人が「業務の幅が広がった」と感じており、具体的にキャリアが向上したという実感が得られているのです。実際、19.5%の参加者は「昇給・昇格」に至ったことを報告しており、リスキリングの効果は数字としても現れています。
キャリアアップにおけるリスキリングの重要性
日本の労働市場は、OECDの中でも生産性が低く、需要と供給のアンバランスが深刻な問題です。そのため、企業にとって即戦力となる人材を確保するのは難しく、リスキリングはこれからの人材育成の重要な手段となるでしょう。特に、日本が直面している労働人口の減少や、技術革新の速さを考えたとき、リスキリングがいかに重要かは明白です。
海外の取り組みと日本の課題
海外では、未経験者に対して学びの場を設ける「アプレンティスシップ制度」や、リスキリングを推進する専門職が増えています。日本でも、経済産業省がリスキリング支援事業を開始したことがその一歩と言えるでしょう。しかし、勤続年数が長い社員が多い日本企業において、リスキリングを促進するための仕組みや文化がまだ十分に整っていないのが現状です。
まとめ
本調査から得られたデータは、リスキリングの重要性とその効果を印象付けるものでした。多くの企業がこれからの人材価値向上を図るためには、リスキリングを推進する環境を整備する必要があります。しかし、同時に認知度を高めるための情報発信や教育の場も必要です。今後のリスキリングが、より多くの人々のキャリアにどのように寄与していくのか、要注目です。
本調査についてのさらなる詳細は、
ビズクロの公式サイトをご覧ください。