全盲と車椅子のダブルチャレンジャー、初の学校講演
障がいを持つ方々が、その経験を生かしながら社会に貢献しようとする姿は、私たちに多くのことを教えてくれます。NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトが運営する就労継続支援B型事業所Baseの全盲かつ車椅子を利用されている谷口さん、及び弱視の岩下さんが、ついに学校での講演に挑戦しました。今回は、オンラインとオフラインの2つの形式で行われたその経緯と成果をご紹介します。
1. 初めての学校テレビ登壇
2023年2月4日、彼らは長崎県の高校の福祉課にてオンラインでの講演を行いました。この日の講義では、24名の高校生を対象に、障がいや自身の生き方について語る内容でした。主題は、過去に抱えていた精神的葛藤やそれを如何に克服したか、今行っている仕事や日常生活の工夫、そして未来の目標など、多岐にわたりました。
この講演は、昨年に行った点字に関する講演を踏まえ、学校での場は初めての経験だったため、詳細な準備が必要でした。利用者たちは、支援スタッフのアドバイスを元に、聞き手が飽きずに耳を傾けてもらう方法を考え、資料作成を進めました。また、授業の流れに合わせて時間配分の調整やリハーサルを重ね、その過程で多くの成長を見せました。
当日は、機材トラブルなどのハプニングもあり、時間内に話し切れない部分もあったものの、貴重な体験として捉えられ、講師たちにとって大きな一歩となりました。
2. ユニークなオフライン講演
続いて、2月12日には西宮市の中学校にて2年生20名を対象にオフラインでの講演を行いました。この際は、谷口さんが一人で登壇し、初の試みながらも堂々たる発表を行いました。オンラインからわずか1週間後の準備期間は短く、彼には不安もあったようですが、結果は期待以上。生徒たちの心に響く展開となりました。
生徒たちの感想も多く寄せられ、特に「障がい者の方々は生活を助けてもらうだけでなく、積極的に挑戦することで多くの可能性がある」という意見が印象的でした。他にも「障がいのある方々も前向きに生活する力を持っている」との声があり、彼らの話がどれほど影響を与えたのかがうかがえます。
3. 講師たちの想い
講演を終えた谷口さんは「初めての学生さん向けの登壇だったため、緊張感が強かったが、準備を共に行った岩下さんとスタッフの支援に感謝しています」とコメント。岩下さんも「緊張が高まる中で素敵な感想が得られ、伝わるものがあったと感じました」と振り返りました。支援員の内藤さんは、準備過程での成長を実感したようで、彼らが堂々と発表できたことに深い喜びを表しています。
4. 今後の展望と依頼
今後は、福祉事業所や学校、企業からの講演依頼を提案し続けます。彼らの体験に基づいた話が、障がい者の理解を進める貴重な機会になると信じられています。また、実際に障がいを持つ当事者だからこそ語れることに意味があり、皆が「できない」を「できた」に変えられる世界を目指しています。持続可能な未来に向けて、一歩一歩進んでいく彼らの活躍から目が離せません。
法人情報
NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトは、障がいを持つ人々や高齢者、小さなお子さんたちが平等に楽しめるビーチを目指して活動しています。今年も多くの受賞歴を誇り、その活動は広まりを見せています。今後の活躍とメッセージに期待がかかります。