RCCラジオが最優秀賞を受賞
2024年8月6日に放送されたRCCラジオの報道番組『消えゆく声・ヒロシマを継ぐこと』が、2025年度の日本民間放送連盟賞ラジオ報道番組部門で最優秀賞に輝きました。この受賞は、広島の声を大切にし、その伝承の在り方を問い直す画期的な取り組みが評価された結果です。
新しい伝承の形を提案
この番組は、広島における被爆者の平均年齢が85.58歳に達し、これからの時代に被爆者がいなくなってしまう現実を背景に、何気ない日常を奪った原爆の悲劇を伝える重要性が強調されています。しかし、悲劇ゆえにその継承は容易ではなく、聴く人々の心に直接響く言葉が必要とされています。
特に注目すべきは、番組のディレクターが「怖い」「しんどい」といった自身の感情を素直に語る手法です。このように率直な言葉を使うことで、視聴者は共感しやすく、また、伝承の新しい形を提示することに成功しています。単に「継承しなければならない」と訴えるのではなく、「向き合いたくない」とする葛藤をテーマにすることで、特に若い世代に響くメッセージとなっています。
番組の制作背景
『消えゆく声・ヒロシマを継ぐこと』の制作チームには、多くの才能が集まっています。プロデューサー兼演出の森下朋之、ディレクター兼ナレーターの宮﨑夏音、取材を担当した角賢直と藤原佳那子、ナレーターの田口麻衣など、多岐にわたるスタッフが協力しています。集まった心理や経験を元に、被爆者の体験が真に伝わるよう、苦心して制作されたことが伺えます。
この番組は、特に広島市で養成が行われた家族伝承者1期生の細川洋さんのインタビューを通じ、昨年亡くなった父・浩史さんの思いをもとに継承の在り方を考える場ともなりました。これにより、視聴者は単なる情報の受け手ではなく、物語の一部に引き込まれ、さらに深い理解を持つことができます。
視聴者との共感を重視
放送内容は、「いかに良いものを作るか」だけでなく、「いかに多くの人に届けるか」という点でも高く評価されています。視聴者との共感を重視する姿勢が、番組制作における大きなメッセージとなっています。このアプローチが、広島の苦悩を多くの人に知ってもらい、忘れ去られないようにするための一助となるでしょう。
放送音声へのアクセス
この感動的な番組は、以下のリンクから聴くことができます。ぜひ多くの人に聞いてもらい、広島の歴史や現実に触れてほしいものです。
番組音声を聴く
日本民間放送連盟賞について
この賞は、質の高い番組やCMの制作、技術革新、そして社会貢献活動の推進を目的に、1953年に設立された日本民間放送連盟によるものです。その趣旨は、放送全体の質的向上を図り、社会貢献に寄与することにあります。今回の受賞は、広島の声を未来に繋げる重要な一歩となることでしょう。