山陰の名工、大江克之
2025-11-04 14:26:12

山陰の名工、大江克之が和菓子界に新風を吹き込む

伝統と革新の和菓子を探る



島根県松江市の和菓子店、彩雲堂の職人・大江克之は、令和7年の秋の叙勲において「黄綬褒章」を受章しました。この受章は、彼の46年にわたる和菓子職人としての貢献が評価された結果です。地域の和菓子文化の継承に努めてきた彼の軌跡をたどります。

大江克之の職人としての道



大江は、異色の経歴を持つ職人です。彼は自衛隊から和菓子の道に入ったことがあります。就職支援プログラムで「和菓子部門」を知り、初めての体験で魅了され、半年間の短い時間でしたが、和菓子作りの面白さを再発見しました。それは、季節を反映した美しい生菓子や、その造形の美しさが心を動かした瞬間でした。彼の「つくる楽しさ」は、今まさに和菓子職人としてのキャリアの中でも生き続けています。

1979年に彩雲堂に入社した大江は、まずは代表銘菓「若草」の求肥を練る修業に励みます。入社当初は「見て覚える」指導が多く、家に持ち帰った材料での反復練習を重ねました。そして、和菓子の色や形の自由な表現に引き込まれ、様々な体験から職人としての成長を遂げていきました。

技術革新と後進の育成



大江は、職人としての技術を磨きつつ、後進の育成にも力を注いでいます。現在は島根県菓子技術専門学校の講師を務め、それに加えて彩雲堂本店での茶寮メニューも手掛けています。彼は、和菓子職人としての技術や文化を次世代に伝えることに重きを置いています。また、工芸菓子や季節の生菓子に触れることができる職人ブースも設け、来店者にその技を間近で楽しんでもらえる機会を提供しています。

「和菓子はどんな形にも変化させることができ、作ることに飽きが来ない」と語る大江。彼の技術や感性は、茶道や華道などの伝統文化からも影響を受けています。自然の色や形を観察することで、和菓子作りに活かし、繊細な味わいと美しさを追求しています。

現代の素材と伝統の融合



大江は、伝統的な手法を守る一方で、時代や嗜好に合わせて洋の素材を取り入れた和菓子の開発にも力を注いでいます。例えば、「願ひ菓子」や「だんだん」、「まちねこ」といった新しい和菓子の数々は、若い層にも親しまれ、地域の文化を後押ししています。特に「だんだん」は出雲の方言で「ありがとう」の意味を持ち、感謝の気持ちを込めた和菓子として人気を集めています。

また、地元経済への寄与も意識し、エスプレッソ羊羹やプラムプディングなど、地域素材と洋の要素を融合した新しい和菓子も手掛けています。特にプラムプディングは、小泉八雲の作品からインスパイアを受けており、彼の料理哲学を反映しています。

和菓子作りへの情熱



大江は、和菓子作りについて「私にとってお菓子作りは、まったく飽きがこない世界」と語ります。彼にとっては、様々な表現を込めて作る楽しさがあるのです。また、受章の知らせに対し、「私がやってきたことが評価され、名誉なこと」と感謝の意を示しました。 彼は、今後も多くの人に喜んでもらえるように寛大なしごとを続けていきたいと考えています。

最後に、彩雲堂は2024年に創業150年を迎え、引き続き四季折々の生菓子や創作菓子を提供し続けることでしょう。大江のこれからの挑戦にも期待したいところです。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11

画像12

画像13

画像14

画像15

画像16

画像17

会社情報

会社名
株式会社 彩雲堂
住所
島根県松江市天神町124
電話番号
0852-27-2701

トピックス(地域情報)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。