株式会社Receptがシードラウンドで資金調達
デジタルアイデンティティ管理の専門企業、株式会社Receptがシードラウンドで資金調達を行いました。この資金は自社プロダクトの開発に向けられ、特に「proovy」と呼ばれるDID/VC基盤の開発に注力される予定です。
株式会社Receptの背景
Receptは2023年に設立された新しい企業で、デジタルアイデンティティ管理技術、特にDID(Decentralized Identifier)およびVC(Verifiable Credential)を専門に扱っています。これらの技術は、個人情報の保護とデジタル証明書の信頼性を高めるために重要です。特に、欧米ではすでに広く活用されている背景がありますが、日本でもその必要性が高まっています。
最近の日本では、コロナワクチン接種証明書やマイナンバーカードのスマートフォン導入が進み、DID/VC技術の需要が急速に増加しています。しかし、現行の公的ID(マイナンバー)のみでは、個人情報管理の方法に限界が見られるため、Receptの取り組みが求められています。
市場背景とDID/VCの必要性
個人情報漏洩事件が増加する中で、安全で効率的なデジタルアイデンティティの管理が求められています。外国人観光客の増加に伴い、国境を越えるデジタル証明書のニーズも高まっています。DID/VC技術はこのようなニーズに応えるための有望な技術ですが、日本においてはその普及が遅れています。
DID/VCの市場は2028年には11.4兆円規模に成長する見込みですが、新たに普及する国々では、既存のシステムやプレイヤーを考慮した導入が求められるでしょう。また、分散型技術の進展とともに、理想と現実のギャップを埋める技術的解決策が必要とされています。
資金調達の目的
今回の資金調達は、主に以下のプロダクトの開発に充てられます:
- - DID/VC基盤「proovy」: これは、DID/VCの発行と検証を行うための基盤であり、デジタルIDウォレットの提供も見据えています。
- - デジタル学生証サービス「学ナビ」: 学生向けの身分証明書をデジタル化し、手続きのデジタル化やプライバシー保護を強化するものです。
引受先のコメント
資金を提供したGazelle Capitalの大谷氏は、Receptのソリューションが個人情報漏洩や偽装リスクに立ち向かうための革新であると評価しています。また、ユナイテッド株式会社の八重樫氏も、Receptの技術が事業者のコスト削減とリスク管理を実現するとの見解を示し、その成長を支援する意欲を表明しています。
まとめ
Receptは「歴史を変える」というビジョンを掲げ、DID/VC技術を通じて未来のデジタル社会の実現に貢献することを目指しています。新たなデジタルアイデンティティの管理方法を確立することで、情報漏洩の脅威から個人を守り、より安心して使えるデジタルサービスの流通を促進する役割を果たすであろう期待が高まっています。今後、Receptの動向に注目が集まります。