名古屋市が『srest』を正式導入
名古屋市が、全国に先駆けてガバメントクラウド環境にAWSコスト管理ツール『srest(スレスト)』を正式に導入することが決定しました。この取り組みは、2025年度から本格的に運用される予定で、名古屋市が進めるデジタル改革の一環として注目されています。
先進的な実証実験
『srest』は、株式会社メタップスホールディングスが提供するAWSコスト管理ツールで、名古屋市のガバメントクラウド環境において、2025年3月に開始された実証実験を通じて、その有効性が確認されていました。実証実験では、クラウド環境の複雑な請求や検収プロセスを可視化し、業務効率化を実現しています。こうした結果を受け、名古屋市は本格運用を決定しました。
クラウド移行の背景
名古屋市は、2022年に策定された「名古屋市役所DX推進方針」に基づいて、AWSを基盤としたガバメントクラウド環境への移行を進めています。各業務システムが「単独利用方式」で構築されている中、AWSアカウントが分散していることから、運用におけるクリティカルな課題も浮かび上がりました。具体的には、全体のクラウドコストを把握する難しさや、手作業による費用按分作業の煩雑さが問題視されていました。
このような状況に対して名古屋市は、全国に先駆けて『srest』を利用した実証実験を行い、クラウドコストの可視化と業務の効率化を目指しました。実験の結果、『srest』を用いることで、AWSアカウント間の請求情報を自動収集し、可視化することに成功したのです。
導入効果の具体例
実証実験で確認された導入効果は以下の通りです:
- - コスト可視化の実現:各業務システムのコストが明確化され、請求データの整理がスムーズになりました。
- - 業務効率化:従来手作業で行っていた会計別請求額の按分計算や帳票作成の業務が効率化され、検収・支払業務にかかる時間が大幅に短縮されました。
- - 無駄の削減:コスト構造が可視化されたことで、一部サービスの利用料金が想定を上回っていることが判明。今後はログ保存設定や監視機能の見直しを行うことで、さらなるコスト最適化に取り組む方針です。
- - 予算策定の合理化:毎月のクラウド利用額を確認することで、翌年度の予算をデータに基づいて見積もることが可能になり、財政局との予算枠設定もスムーズに行えるようになりました。
今後の展望
『srest』は今後も名古屋市のガバメントクラウド移行をサポートし、FinOpsの実践やコスト最適化を継続的に支援していく方針です。名古屋市の総務局デジタル改革推進課の高橋広和課長補佐は、「全国の自治体がガバメントクラウドに移行する厳しい状況の中、srestのようなSaaSのサポートは非常にありがたい」と期待を寄せています。
まとめ
名古屋市のガバメントクラウドへの移行は、デジタルトランスフォーメーションの進展の証です。『srest』の導入を通じて、より効率的で透明性のある財務管理が実現できることにより、公共サービスの向上が期待されています。
気になる方は、ぜひ『srest』の公式サイト(
こちら)を訪れて、その未来の可能性をご確認ください。