東京都港区に位置するダイアログ・ジャパン・ソサエティが、その傘下の「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム(対話の森)」にて、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の国際賞、「Zero Project Award 2025」を受賞しました。この賞は、障害者が社会で活躍できる環境づくりを目的として、オーストリアのエスル財団が設立したもので、今回の受賞は、世界90か国、522団体からの応募の中からダイアログが選ばれたことを意味します。
「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム」は、2020年8月に東京・竹芝にオープンしました。「みえないからこそ、みえるもの。聞こえないからこそ、聴こえるもの。老いるからこそ、学べること。」というテーマのもと、視覚や聴覚に障害のある人々が体験型プログラムの案内役を務め、多様性を体感できる場所を提供しています。特に注目されるのは「インクルーシブな雇用」への取り組みで、視覚や聴覚に障害のある人々、高齢者が共に働き、さまざまな違いを受け入れ、価値を見出している点です。
ダイアログでは、障害者や高齢者が一緒に働く環境を整え、自らの強みを生かし、社会に役立つスキルを身につけるためのプログラムを展開しています。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」などのプログラムを通じ、視覚的障害を持つ案内人が、参加者を新たな視点へと導くことが特徴です。また、障害者向けのリーダー養成講座や、企業との連携による障害者の職業体験プログラム「ダイアログ・ダイバーシティ交換留学」なども実施しており、活躍の場を広げています。
受賞を受けて、代表理事の志村季世恵氏は、ダイアログの理念が実際の職場にどのように根付いているかを語りました。スタッフ124名のうち約75%が視覚障害者や聴覚障害者、高齢者などのマイノリティで構成されており、実際に手話やコミュニケーションの工夫をしながら自然に交流を生んでいます。これにより、さまざまな背景を持つ人々が互いに助け合い、豊かな関係性を築く姿が見受けられるそうです。
「違いを価値に転換する」ことの重要性を象徴するエピソードもあり、年齢や障害に関わらず、職場で生まれる新たな文化がダイバーシティの柱となっていることが伝わります。このような取り組みが、今後の社会にどのような影響を与えるか、非常に楽しみです。ダイアログの活動はただの事業ではなく、地域社会の豊かさを築いていく重要な構成要素といえるでしょう。
今回の受賞は、ダイアログ・ダイバーシティミュージアムの理念が国際的に認められたことを示しており、今後も多様性を尊重した社会の実現に向けて邁進していく意義深い出来事です。私たちもまた、相互理解と協力を深めるための努力を続けていく必要があります。