音楽に耳一つの壁を越える！別府温泉音楽祭「いい湯だな！」の取り組み

耳を越えた音楽の楽しみを共に

大分県別府市で開催される温泉都市型音楽祭「いい湯だな！」は、音楽を愛するすべての人々に向けた特別なイベントです。この音楽祭は、耳が聞こえる人も、聞こえない人も共に音楽を楽しむことを目指しています。ふとしたきっかけから始まったこの取り組みが、社会に新たな風を吹き込んでいます。

開催背景

イベントを主催するメンバーは、あるテレビ番組への出演を通じて、ろう者と音楽の関係について考え始めました。それまで、「音楽は耳で聴くもの」との先入観がありましたが、ろう者もさまざまな方法で音楽を楽しんでいるという事実に直面しました。歌詞を感じたり、音の振動を体で感じたりと、彼らの音楽の楽しみ方は多岐にわたります。

この気づきをきっかけに、福祉関連団体や企業と連携し、音楽を聞くことができない人々にも楽しんでもらえる音楽フェスの実現を目指すことになりました。

富士通とのコラボレーション

その中で出会ったのが、富士通が開発したデバイス「Ontenna」です。このデバイスは、音の大きさを光と振動に変換し、聴こえない人も音楽のリズムやパターンを感じ取ることを可能にします。おんせん都市型音楽祭での活用による新しい体験が期待されます。

Ontennaを利用することで、聞こえない方も聞こえる方も同じ場で音楽を楽しむことができる環境が整います。この努力が、温泉のように心地よいイベント体験を生み出します。

イベントの特徴

「いい湯だな！」音楽祭は、温泉に浸かるような心地よいひとときを提供することを目指しています。イベント当日は、Ontennaの貸出も行われ、ろう者優先エリアには歌詞やMCの字幕が表示されるモニターも設置されます。このような配慮により、多様なバックグラウンドを持つ人々が共に楽しむ場を作り上げます。

主催者は、音楽を通じて人々が繋がり、交流し合うことの大切さを強調しています。言語の壁はあっても、共同作業を通じて共感を育むことができると信じています。

特別な一日の願い

このイベントに参加する人々が、一日を通じてそれぞれの音楽や温泉の魅力を感じ合うことができればと思っています。この特別な時間は、参加者にとって一生の思い出となるかもしれません。

ダンスができなくても、歌が下手でも、その人の「楽しむ」という気持ちが大切です。誰もが自由に音楽を楽しむ姿勢が、真の共有体験を生むのです。