新たなアニメーション制作を可能にするBlenderアドオン
アーチ株式会社(以下「ARCH」)と株式会社グラフィニカは、3DCGアニメーション制作における新たな可能性を切り開くためのBlenderアドオンを開発しました。この新しいツールは、アーティストが複雑なスタイルを直感的に再現できる仕組みを提供し、特に水彩風や油絵風などの表現を取り入れることが可能です。プロトタイプ作品として「Forest Tale」が制作され、すでに公開されています。
プロジェクトの背景と目的
このプロジェクトのスタートは、アーティストがアニメーションのルック開発において直面している課題を解決するためでした。従来、理想的な表現を引き出すためには多くの苦労が伴い、ツールの操作に多大な時間を費やす必要がありました。特に複雑なスタイルを実現するためのプロセスは長大で、アーティストの自由な創造力を制限していました。
そこで、ARCHとグラフィニカの共同チームは、スタイル転写技術に着目しました。この技術は、学生発表会などで知られ、手描きの絵の質感を3DCGに適応させることができます。藤堂英樹氏(拓殖大学)の専門性を活かし、実際の映像制作にも対応できる技術の導入を検討しました。
Blenderアドオンの特徴
新たに開発されたBlenderアドオンを使用することで、アーティストは2Dイラストのブラシツールを用い、シンプルな3D形状に希望のルックを描くだけで、リアルタイムにスタイルが適用されます。重要なのは、アニメーションにおいてもスタイルが破綻せず、時間の連続性が保たれる点です。これにより、制作時間が圧倒的に短縮され、クリエイティブな表現が手軽に実現できます。
具体的な利用方法と効率性
アドオンは、アーティストが自身で描いた少数のサンプルを用いてスタイルを転写する仕組みとなっており、大量の学習データを必要としません。また、一般的な3DCGクリエイター向けのPCでスムーズに動作します。
この利点により、さまざまなスタイルを早い段階で試すことができ、制作の際に感じる苦労が大幅に軽減されます。これまで労力を要していた制作プロセスが、通常のアニメ制作フローの中で簡単に行えるようになるのです。
プロトタイプ作品「Forest Tale」の公開
本プロジェクトの技術検証の一環として、「Forest Tale」が制作されました。グラフィニカ公式YouTubeチャンネルでは、スタイル転写を用いたバージョンと通常バージョンの2つを公開しています。これにより、技術の実用例が実際の映像で確認できるようになっています。
アートと技術の融合
アートディレクター小野竜太氏のコメントによれば、このスタイル転写技術はアーティストにとって革新的なツールであり、作業の効率化に寄与しているとのことです。これにより、異なるスタイルのアーティストの表現をひとつの映像にまとめることも可能となり、制作の幅が広がっています。
結論
アーチ株式会社とグラフィニカが共同で開発したこのBlenderアドオンは、アニメーション制作に革命をもたらすと期待されています。演出面や技術面でのフィードバックを受け、今後もさらなる改善が期待されます。このプロジェクトが、業界全体にわたる創造性を刺激し、新しい表現手法を提供していくことに注目です。また、今後の技術発展にも期待が寄せられています。
*詳しくは、
ARCH公式サイトおよび
グラフィニカ公式サイトをご覧ください。