『さりゆくものみな』
2025-11-19 09:36:29
介護と安楽死を描く舞台『さりゆくものみな』東京公演の魅力
舞台『さりゆくものみな』の魅力
坂本企画の最新作『さりゆくものみな』が、2025年11月21日から24日まで、東京の三鷹・SCOOLにて上演される。これは、大阪での先行公演で観客から高い評価を得た舞台であり、東京ではさらに深化した演出が期待される。この作品は、介護や安楽死という現代社会の重要なテーマを扱っており、人がどのように生き、どのように別れを迎えるかという普遍的な問いを静かに掘り下げている。
坂本企画とは
坂本企画は2009年に、劇作家坂本涼平によって設立された演劇ユニットである。固定メンバーを持たず、公演ごとに新たに俳優やスタッフを参加させる独特のスタイルを持っている。彼らの作品は、「ほんの少し、ボタンを掛け違った人間の悲劇に寄り添う」ことをテーマにしており、静かな会話に現代社会の深い寓意を織り交ぜることで、多くの支持を集めている。特に『さよならの食卓』では第30回OMS戯曲賞佳作を受賞し、関西圏で高い評価を得た。
『さりゆくものみな』のストーリー
この作品は、少し未来の国を舞台に描かれており、日本でも安楽死が認められるというフィクションを背景にしている。物語は、記憶を徐々に失っていく母・アンナと、その安楽死を実行するために彼女の意志を確認しようとする息子・ユウリの葛藤を中心に展開する。ユウリは、母が生前に示していた意志と今の彼女の状態との間で揺れ動き、その中で家族の絆や生と死というテーマを問い直す。
ユウリは、安楽死を合法化された社会に生きる中で「母さん。僕は母さんの死を、母さんに返すことができるだろうか。」という深い疑問を抱えながら、家族との対話を重ねていく。
坂本涼平の思い
脚本・演出の坂本涼平は、作品の創作にあたって自らの晩年への興味を強く意識していると語る。「好きな人や家族に会いたくなるような、観た人の人生の一部となるような芝居を目指した」とし、作品が観客の心に長く残ることを志向している。
表現の繊細さ
『さりゆくものみな』は、役者の演技力だけでなく、音響や照明、美術が巧みに融合していることで、登場人物たちの心情を立体的に描写する。観客は、時間の経過と共に移り変わる光と音によって、彼らの感情に引き込まれ、誰一人として他人事ではないという共感を得られる。
公演情報
本作は、大阪での公演が2度の超満員を記録し、観客からは感動の声が上がったことから、東京での上演が待ち望まれている。公演は11月21日から始まり、初回割引やアフタートークも予定されているため、ぜひこの機会に観劇してみたい。
お問い合わせ
詳細は公式サイトで確認できるので、関心のある方はぜひ予約をおすすめしたい。これからも、坂本企画は観客の心に響く作品を手がけていくことだろう。
終わりに
『さりゆくものみな』は、ただの舞台ではない。それぞれの観客が自身の生き方を振り返り、深い思索に誘う重要な作品となるだろう。皆さんもこの舞台を通じて、生命の意味、別れの形について考える機会を得ることができるはずである。
会社情報
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坂本企画
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