革靴専門のリユースブランド「LASTLAB」を運営している株式会社ストックラボが、革靴の資産価値をLINEで自動的に通知する新機能「資産価値アラート機能」の開発に着手した。これは、革靴の価値を常に把握できるようにし、売却のタイミングを逃さないためのものだ。従来の買取サービスは、顧客が「売りたい」と思ったときに初めてアクションを起こす「プル型」が主流だったが、忙しい現代においては、日々の相場を確認することが難しい。そのため、新たに導入されるこの機能は、AIが常に市場を監視し、顧客に対して最適な売却タイミングの情報を提供することを目指している。
検討の背景:高級革靴市場の変化
最近の高級革靴市場にはいくつかの構造的変化が生じている。一つ目は、「消費」から「資産形成」へのシフトだ。高級革靴の価格は、原材料費の高騰や円安の影響で上昇を続けており、一部のモデルは中古市場で新品価格よりも高値で取引されることもある。これにより、高級革靴は単なる消耗品ではなく、資産と見なされるようになった。
次に、「下駄箱資産」の機会損失の問題が挙げられる。多くの靴オーナーが、自身の靴の現在価値を知らずにいるため、最適な売却タイミングを逃すことが多い。この情報の非対称性が、リユース市場の流動性を阻害している。
そして最後に、「調べる手間」をゼロにするためのプッシュ型体験の必要性が高まっている。これまでのプル型のサービスでは、顧客がアクションを起こさなければ情報が届かないが、待っていれば重要な情報が届くプッシュ型への転換が求められている。
実際の機能概要
この新機能は、LASTLABのLINE公式アカウントと連携して提供される予定だ。まず、顧客は自分の靴を「マイ・シューズ」として登録することができる。過去の購入や買取の履歴が自動で取り込まれ、それ以外の靴もLINEでの投稿によって簡単に登録が可能。
次に、AIがリアルタイムで相場を監視し、登録された靴の買取参考価格を日次で更新する。為替レートや市場の在庫状況などの要因を解析し、常に最新の価値を反映させる。
そして、価格の急騰や特定のトレンドがある場合には、LINEで自動的に通知が行われる。例えば、急騰アラートや目標価格到達時など。これにより、顧客はいつでも自分の靴の価値を把握でき、適切なタイミングで売却の判断ができる。
提供の価値と今後
このすべての機能の狙いは、リユースを「資産運用」の体験に変えることだ。顧客は自分の靴の価値が上昇した際に利益を確定し、再度購入資金として活用することができる。従来の消極的な処分から、より能動的な資産運用へと変化していくことが期待される。
株式会社ストックラボ代表の尾太駿氏は、「テクノロジーを駆使して、靴の価値を透明化し、顧客に気づきを促す」と強調している。この新たな価値提供は顧客にとってポジティブな体験を生み出すだけでなく、革靴市場全体の活性化にもつながることだろう。