日本人の睡眠不足が明らかに
Inspire Medical Systems Japan合同会社が2025年3月14日の世界睡眠デーにあわせて実施した「睡眠に関する定量調査」の結果が、今の日本人の睡眠実態を浮き彫りにしました。調査によれば、睡眠の質に満足している人はわずか29%にとどまるという衝撃のデータが明らかになりました。
調査の背景
この調査は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の新たな治療法である「舌下神経電気刺激療法」を提供するInspire Japanの啓発活動の一環として実施されました。日本社会がデジタル化し、高齢化が進む中で、人々の睡眠の質がどのように影響を受けているのかを考える機会としています。
睡眠時間の実態
調査結果では、日本人の平均睡眠時間は平日6.28時間、休日6.71時間で、いずれも7時間を切っていることが明らかになりました。特に注意すべきは、男性50代の平日平均が6.00時間、女性60代の休日平均が6.49時間と、かなり短いことです。さらに、SAS患者の睡眠時間は平日平均5.93時間、休日6.35時間にまで減少しており、深刻な状況であることがわかりました。
睡眠の質に関する不満
また、調査における睡眠の質に対する満足度では、全体の45.3%が「不満」と回答しました。年代別に見ると、若年層(30代から50代)は満足度が低く、高年層(60代以上)では比較的満足している傾向にあることが浮かび上がりました。特に、SAS患者の49.6%が質に対して不満を抱えているという結果も注目すべきです。
睡眠に関する知識と理解
睡眠に関する用語の認知度については、睡眠時無呼吸症候群を知っている人は全体の38.3%で、「レム睡眠・ノンレム睡眠」に関しては33.3%の人が理解しているという結果になりました。年代別の偏りは少なく、全体的に知識はあるものの、実際の理解度や症状に対する理解には課題が残るといえます。
生活習慣の重要性
睡眠の質を向上させるために実施していることとしては、「規則正しい生活」を実践している人が37.6%と多く、寝室の快適性を保つことや明るさの調整なども有効とされています。しかし、男性40代の中には、全く何も行っていないと答える人が37.8%もいる一方で、女性70代ではその割合が14.0%にとどまるなど、実践の差が見られました。
医師の見解
奈良県立医科大学の山内基雄教授は、「自分に合った睡眠時間を探求することが重要であり、特に生活リズムが乱れがちな現代では、睡眠時間を少しずつ延ばして最適な時間を見つけることが大事」と語ります。一方で、上村裕和教授は睡眠時の鼻閉が睡眠の質に影響することや、アレルギーが要因となる場合があるため、個々の生活環境を見直すことが必要であると指摘しています。
クローズアップ情報
啓発活動を通じて、Inspire Japanは日本人の睡眠の質を向上させるべく、今後も努力していく方針です。睡眠は心身の健康にとって欠かせないものであり、調査結果を受けて社会がより良い生活環境を整えることが求められています。今回の結果を契機に、自分自身の睡眠環境や質について改めて考えるいい機会としたいところです。