マンパワーグループ調査が示す日本の雇用意欲と未来の展望

総合人材サービスを展開するマンパワーグループ株式会社が、2025年第2四半期の雇用計画に関する調査結果を発表しました。この調査は、東京都港区を拠点としている同社が四半期ごとに行う重要なもので、41カ国及び地域を対象にした広範なものです。今期の調査では、東京、大阪、名古屋の1,049社から回答を得て、季節調整後の純雇用予測は+14%という結果が示されています。

調査結果の概要

2025年の4月から6月における雇用計画についての質問に対して、32%の企業が「増員する」と回答した一方、17%は「減員する」と答えました。この結果を基に計算された純雇用予測は+14%であり、前回の調査からは若干の減少（-1ポイント）ながらも、前年同期と比較すると3ポイントの増加が見られました。

調査に参加した企業は、9つの異なる業種に所属しており、その中で注目すべきは「エネルギー／公益事業」が最も活発な雇用活動を示していることです。この業種は純雇用予測が+29%と高水準を維持し、前回調査より7ポイントの減少が見られたにもかかわらず、引き続き雇用を拡大する意向が見受けられます。

業種別の雇用予測

調査結果によれば、9業種の中で「エネルギー／公益事業」を含む8業種が増員の意向を示しており、特に通信サービスや情報技術のセクターでも高い雇用予測が出ています。これらの業種は、いずれも深刻な人手不足に直面しており、成長戦略の一環として採用を強化する必要が高まっています。

組織規模別の傾向

組織規模別に見てみると、従業員数が10人未満の企業を除く5つの組織規模で増員が予想されています。特に、「従業員数が1,000-4,999人」の組織では、前回から11ポイントの上昇となる+25%の純雇用予測が示され、最も高い数値を記録しています。

雇用意欲の分析と課題

今期の調査で浮かび上がったのは、日本の雇用意欲が昨年からほとんど変わらないことです。しかし同時に、人材不足を感じている企業の割合が77%に達し、グローバル平均の74%を上回る状況が続いています。特に日本は、若年層の労働人口減少が背景にあり、その影響が広く生じています。

一方、2024年から2025年への雇用状況の改善の一因には、シニア層や女性の就業率が向上していることが挙げられます。これにより人手不足感が若干ながら緩和されつつあるのかもしれません。

業界の成長戦略と賃上げ

2025年第2四半期の純雇用予測が+14%という結果は、過去数年の間で安定して推移しています。企業は人手不足、成長戦略、競争の激化の3つの要素が絡み合い、求人の拡大が必要とされる環境に置かれています。また、インフレ状況が続く中で、企業は賃金の引き上げを行わざるを得ない状況にあり、これは今後の雇用戦略にも影響を与えるでしょう。

今後の展望

今後の展望として、企業は新規採用を維持しながら、デジタル化（DX）を進め、生産性向上に努める必要があります。特に人件費のコントロールが難しくなる中で、組織の成長と働く人々のモチベーションをいかにして引き出すかが重要な課題となります。これらの要素に留意しつつ、マンパワーグループの次回の雇用予測調査の結果には、さらなる注目が集まることでしょう。