新たなアパートメントホテル開発ファンド設立の背景
観光業の復活を果たす日本において、インバウンド需要は回復しつつあります。特に、観光客の消費額が増加し、2024年度には8.1兆円に達する見込みです。これを受けて、複数の企業が連携し、アパートメントホテルの開発を進めることが急務とされています。日本政府は「観光先進国」を掲げ、2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人にする目標を設定しています。
その一環として、SBI新生銀行グループの昭和リース株式会社、クリアル株式会社、及びクリアルの子会社クリアルホテルズ株式会社は、アパートメントホテル専用の開発ファンドを設立しました。これは、顧客に長期宿泊の体験を提供することを目的とし、訪日外国人旅行者のニーズに応えると同時に、経済の活性化に寄与することが期待されています。
ファンドの概要
新しく設立されたファンドの名称は「特定目的会社PC1」で、2025年3月から運用が開始される予定です。このファンドは、株式会社中国銀行から提供されるシニアローンを基に運用され、出資形態としては優先出資が採用されています。具体的には、プルーガ・キャピタル株式会社と昭和リース株式会社が優先出資者となります。
対象とするのはアパートメントホテルで、ファイナンシャルアドバイザーの役割は昭和リースが担い、アセットマネージャーにはクリアルが就任しているといいます。また、オペレーターとしてはクリアルホテルズが選定されています。
インバウンド需要への対応
近年の観光業は、モノ消費からコト消費へとシフトしています。旅行者は多様な体験を求めており、アパートメントホテルはその要望に応える最適な選択肢となっています。クリアルホテルズが展開するアパートメントホテルは、長期滞在を想定した快適な宿泊体験を提供し、旅行者に対する新たな価値を提供します。このような動きは、政府が目指すインバウンド客の拡大に貢献すると考えられます。
具体的なプロジェクト内容
本ファンドの具体的な対象物件として、東京都中央区に位置する(仮称)銀座八丁目ホテルが予定されています。この物件は2027年1月に竣工予定で、敷地面積は95.85㎡、延床面積は718.61㎡のRCで地上13階建てです。各階に51㎡の客室が設けられ、最大6名まで収容可能できる仕様となっています。また、新橋駅や銀座駅からのアクセスも良好で、観光地への移動が便利です。
企業の将来予測
SBI新生銀行グループは、このような取り組みを通じてグループ内外での連携を強化し、さらなる事業成長を目指しています。また、クリアルはすでにホテルアセットへの投資経験が豊富で、これまでの実績を基に新たなプロジェクトを展開していく考えです。
この開発ファンドは、ただ宿泊施設を増やすだけでなく、地域経済の活性化や社会課題の解決にも寄与することを目指しています。注目すべきは、コロナの影響からの回復が見込まれる観光市場において、持続可能な成長モデルを模索し続ける姿勢です。今後の展開に期待が高まります。