採用活動におけるSNS活用の落とし穴と若手求職者の本音
株式会社シスコムが行った「就職活動時のSNS活用に関するアンケート」の結果から、若手求職者と企業のSNS戦略の間にあるギャップが明らかになりました。この調査は2025年5月に全国の708名を対象に実施され、SNSがどのように就職活動に影響を与えているのかを探りました。
SNS利用状況
調査により、調査対象者の55%が企業のSNSをチェックしていることがわかりました。このことは、SNSが就職活動において重要な情報源であることを示しています。チェックされているSNSの中で、最も人気があるプラットフォームは「Instagram」で、続いて「YouTube」、「X(Twitter)」が挙げられました。年代間の差はほとんどありませんでした。
企業のSNS投稿に対する印象
次に、企業のSNS投稿に対する感覚を調査した結果、約半数の人が投稿内容に違和感を感じています。「やりすぎ」「無理してる」と感じる人が多く、特に「社員が不自然にテンション高く演出感が強い」という意見が圧倒的に多いことが分かりました。このような投稿は若手求職者に好感を持たれず、逆に避けられる可能性が高いことが示されています。
不自然な投稿の影響
具体的には「社員のテンションが高すぎる」「若者言葉を無理に使う」などの理由で投稿への違和感が生じています。このような演出は、求職者に「採用目的が見えすぎる」といった疑念を与え、企業のイメージダウンにつながりかねません。
コンテンツの受容
また、社員によるダンスや歌の投稿に関しても、多くの若手求職者が「面白いと思わない」と回答しています。54%が「面白いと思わない」とし、34%は「面白いが、入社したいとは思わない」と述べており、合計で88%の人がネガティブな印象を持っていることが明らかになりました。こうした投稿が好印象を与えるのは難しい状況です。
受信者の価値観に寄り添うことが重要
調査の結果、求職者に好評な投稿がある一方で、多くの人は「見るだけなら良いが仕事では合わない」「やらされ感がある」という意見を持っています。このため、企業はSNS投稿では受信者の価値観を理解することが不可欠です。面白さよりも職場のリアルを伝える内容が強く求められています。
企業の戦略を再考する必要性
今回の調査結果から、企業はSNSでの投稿内容に対して再度戦略を見直す必要があることが分かりました。特に、無理に演出を加えるのではなく、リアルな職場の雰囲気を伝えることが重要です。求職者に対する信頼を得るには、投稿前に自分が求職者だった場合の視点で確認することが求められます。
この調査結果は、企業と求職者との間のコミュニケーションの在り方を再定義するものであり、SNS活用の新たな指針となることでしょう。