AI逆合成ソフト『ChemAIRS』の導入で化学合成が進化する

AI逆合成ソフト『ChemAIRS』の提供開始

2024年8月、株式会社アクセラレート・バイオはChemical.AI社と提携し、AI技術を搭載した逆合成ソフト『ChemAIRS』の提供を開始すると発表しました。このサービスは、化学分野における新たな道を開くものとなります。

ChemAIRSの特長

ChemAIRSは6000万以上の反応データを蓄積しており、専門的な知識を持たないユーザーでも利用しやすい設計です。特筆すべきはその逆合成解析機能で、10年の合成経験を持つ専門家と同程度の能力を発揮します。これにより、合成経路の設計時間が大幅に短縮され、研究者はよりクリエイティブな活動に時間を使えるようになります。

合成の実用性を向上

ChemAIRSは、具体的な合成ニーズに応じて経路や原料の入手可能性について評価を行い、最適な合成経路を提案します。これにより、実験の成功率が向上し、実用的な化学合成の実現が期待されます。

実験条件の検索機能

反応の構造式を入力することで、ChemAIRSは推奨される実験条件を表示します。これにより、ユーザーは反応の実現可能性やリスクを評価し、適切な条件を選ぶことが可能となります。

不純物の予測も可能

化学反応に伴う不純物を精緻に予測する機能も備えており、指定された分子量に基づく予測と分析を提供します。この予測は同位体や構造に関する情報を取り入れ、さらなる精度を実現しています。

スケールアップを考慮した設計

ChemAIRSはプロセス化学において、大規模な合成に適したプロセス経路を勧める機能も持っています。そして、合成プロセスにおける安全性とコスト効率の最適化を追求します。

ユーザーフレンドリーなデザイン

使いやすさも重視され、SMILES形式やCAS番号で目的の化合物を検索したり、Chemical sketcherを利用して直接構造式を入力したりできます。これにより、化学者が必要な情報に迅速にアクセスできるよう設計されています。

実際の活用事例

ChemAIRSの実績として、メルク社がKA12C変異型KRASタンパク質をターゲットとした小分子阻害剤の合成経路を探索した際の事例があります。ChemAIRSはわずか3分で複数の合成経路を生成し、実際の合成経路場合に密接に一致したケースもありました。さらに、代替合成経路も提案され、効率的な実験計画を支援しています。