蓮井幹生の新たな展覧会『十七の海の肖像』
2025年の6月7日から23日まで、東京都港区南青山に位置するYUGEN Galleryで、写真家・蓮井幹生の個展『十七の海の肖像』が開催されます。この展示は日本国内のすべての原発を巡り撮影された17点の海景作品を初公開する重要な機会です。特に、建設中の青森県大間原発は除かれていますが、原発が海に面していることを鑑み、海そのものの美しさとその裏に潜むリスクを描写した作品群が集まっています。
作品の背景と意図
蓮井氏は、写真が持つ記録性や現実を反映する力に対して深い葛藤を抱き、今回の作品では人間の気配を取り去ることで、どのように海を表現するかを模索しました。「果たしてこれは写真と言えるのか?」という質問を提起しながら、感染症や環境問題、原発問題等、目に見えないリスクを抱える現代社会を反映させています。こうした背景から、彼の作品は以前にも増して深いメッセージを持つものとなっています。
蓮井氏は次のように語ります。「どんなに時代が進んでも海は変わらず美しい。しかし、その美しさの裏側には我々人間が生み出した見えないリスクが潜んでいるのです。」
見えないものを見せる試み
この個展では、すべての人が理解しやすい形で海の美しさを表現しているものの、同時にその背後に潜む問題を無言で語りかける作品に仕上がっています。サーフィンや漁業、貨物船が航行する姿は消され、まるで人間の手が加わる前の海の姿を思わせるような風景が展開されます。この「見えないものを見せる」という挑戦は、芸術表現としての新しいステージを開くものであり、観客に深い思索を促すことでしょう。
ギャラリートークを通じての深い理解
また、個展期間中にはギャラリートークも予定されています。6月8日、14日、15日、21日、22日の5日間、蓮井氏自身が作品の背景や撮影時のエピソードについて語る機会があります。この貴重なトークは、観客が作品とより深く向き合う助けになるでしょう。普段は聞くことのできない、作家の思考や作品制作の過程に直接触れることができるこのイベントは、参加者にとって非常に貴重な体験となること間違いありません。
展覧会の詳細
- - タイトル: 十七の海の肖像
- - 期間: 2025年6月7日(土)〜6月23日(月)
- - 開館時間: 平日13:00〜19:00、土日祝13:00〜20:00、最終日は17:00まで(入場は閉場30分前まで)
- - 場所: YUGEN Gallery, 東京都港区南青山3-1-31 KD南青山ビル4F
- - 入場料: 無料
このように、蓮井幹生の『十七の海の肖像』は単なる写真展を超え、深い思索を促す作品群として、特に現代社会におけるエネルギー問題や環境問題を認識させる重要な展覧会です。ぜひ多くの方にご参加いただき、彼の視点から新たな気づきを得てほしいと思います。