栗林商船、運航体制を強化し物流ニーズに応える
栗林商船株式会社が、運航隻数を従来の5隻から6隻に増強することを発表しました。この運航体制の見直しにより、大阪港への寄港頻度が週5便となり、東京から大阪、さらには仙台から大阪間の輸送効率が大幅に向上します。この増便によって、企業の海上モーダルシフトのニーズに応え、陸上輸送からの転換を促すことが期待されています。
増便による物流の利便性向上
今回の運航体制強化により、大阪港を含む主要な港への寄港回数が増え、これまで主に陸上輸送に頼っていた企業にとって、海上輸送の選択肢が広がります。特に東京~大阪間や、仙台~大阪間では、栗林商船が唯一のRORO船事業者であることから、独自の輸送サービスが実現されます。このような取り組みは、社会全体の物流網のさらなる効率化につながるでしょう。
「2024年問題」に対する前向きなアプローチ
物流業界における「2024年問題」が深刻な課題として捉えられている中、栗林商船はトラックドライバー不足の解消に向けて具体的な施策を講じています。陸上輸送から海上輸送へのシフトにより、待機時間が短縮され、ドライバーの長時間労働の是正や安定した物流供給の実現につながります。
実際に、トラックによる輸送に比べて、海上モーダルシフトを活用することで、東京~大阪間輸送時には1台あたりのCO2排出量を72%、仙台~大阪間では74%もの減少が見込まれています。これにより、環境負荷の軽減にも寄与することが期待されています。
事業継続計画(BCP)対策としての役割
栗林商船の定期運航率は98.78%という高い数字を誇っており、これは悪天候や災害による陸路や鉄道の遮断時にも安心して利用できる輸送サービスとして評価されています。運航体制の強化は、企業のBCP対策にも資する部分が大きく、物流の安定性が求められる中で、栗林商船はその役割を果たすことができます。
環境に配慮した取り組み
栗林商船の中期経営計画では、サステナビリティ経営が重要な柱として位置づけられており、環境経営についても具体的な目標を掲げています。海上モーダルシフト推進を通じて、CO2の排出削減を図りながら、利用者にとっての利便性向上を目指しています。特に、これまで主に陸上輸送に依存していた企業には、環境への影響を軽減する新たな選択肢を提供することができます。
今後の展望
栗林商船は今後も苫小牧、釧路、仙台、東京、清水、名古屋、大阪を結ぶ広範な海上輸送ネットワークによって、地域に密着したサービスを提供し続けます。運航隻数の増強と共に、利用者の多様なニーズに応えることで選ばれる運送業者としての地位を更に強化していく方針です。様々な社会課題の解決に向けて、物流の未来を築く一環として、栗林商船の取り組みがますます注目されています。