新たな老いの捉え方
世界的に著名な霊長類学者である山極寿一さんの新著『老いの思考法』が、2025年3月19日に発刊されました。本書は、73歳の著者が初めて老いというテーマに真剣に向き合った作品となっています。700万年の進化の歴史と霊長類の研究に基づき、人間だけが持つ長い老年期に対する新たな理解を提案しています。
老いの社会的な意義
山極氏は、老いを「さびしい」あるいは「苦しい」と捉える偏見を打破する重要性を説いています。本書では、ゴリラの生態を通じて、老いがどのように人生に寄与するかを深く掘り下げています。ゴリラは年を重ねるにつれてより美しくなり、周囲からの尊敬を集める存在となります。この現象は、人間にとっても参考となる思考モデルを提供しているのです。
本書の中で山極氏は、過去の記憶との出会い直しが老年期においてどれほど特別なものであるかについても触れています。誰しもが持つ過去の体験が、年齢を重ねることで新たに意味を持つことができるという視点は、非常に希望に満ちたものです。また、老いに対して抱く不安を和らげるための心構えや知恵も満載です。
老いることに対する新たな考え方
「人間はなぜ人生後半戦が長いのか?」という問いや、「狩猟採集民的な学びのモデル」を復権する重要性についても考察がなされています。これらは現代社会で忘れられている「老い」を見つめ直す手助けとなるでしょう。
著者はまた、老いは新たな創造性をもたらすことができるというメッセージも伝えています。身体的な衰えを気にせずに、自身の経験を活かした活動や創作を行うことができると語ります。
読者へのメッセージ
この本は、「老いることが嫌だ」「年を重ねることに不安を感じる」といったネガティブな感情を持っている方にこそ読んでほしい内容です。老いを恐れず真摯に向き合うことで、人生をより豊かにする知恵を得ることができるはずです。
特別トークイベントの開催
また、本書の刊行を記念して、思想家である内田樹さんとの特別対談イベントが開催されます。このイベントでは、現代社会における老いという大テーマについての知見を深める貴重な機会です。興味のある方はぜひ参加して、新しい視点を得てください。イベントの詳細は、特設ページでご確認いただけます。
著者プロフィール
山極寿一氏は、1952年に東京で生まれました。長年にわたり霊長類学と人類学の研究に従事し、さまざまな国際的な学会で貢献を果たしてきました。本書『老いの思考法』は、彼が積み重ねてきた知識と経験が詰まった一冊です。
書誌情報
- - 著者: 山極寿一
- - 出版社: 株式会社文藝春秋
- - 発売日: 2025年3月19日
- - 定価: 1,650円(税込)
老いを恐れることなく、自身を豊かにする思考の手助けとなる一冊として、多くの人に支持されることを期待しています。