室内緑化の心理的効果を実証した研究が国際的に評価
株式会社パーク・コーポレーションが運営するフラワーショップ「青山フラワーマーケット」の空間デザインブランド「parkERs」は、2019年以来、トヨタ自動車や豊田中央研究所、パソナ日本総務部との共同研究を実施してきました。その成果の一部が、オランダの学術誌「Building and Environment」に採択され、2025年5月発刊のVolume276に掲載されることとなりました。
研究の背景と目的
この共同研究は、植物と人間の共生関係を探ることを目的としています。特に注目されたのが、植物の葉の形状が人に与える印象についてです。この研究により、空間デザインにおける植物の役割をより明確にし、人々の心理にどのように影響を与えるかを理解しようとしています。
「活力」や「リラックス」といった感情を誘発する植物の選定が可能になることで、特定の空間でのコミュニケーションや癒しの効果を高めることが期待されています。この知見は、今後のウェルビーイング(心身の健康と幸福)を向上させる室内空間づくりに寄与するでしょう。
樹種マップの作成とその科学的根拠
パーカーズは2016年、自社独自の「樹種マップ」を作成しました。これにより、観葉植物を葉の形状や特性に基づいてグルーピングし、適したデザインを行う基盤を築きました。しかし、このマップは論理的なエビデンスを欠いていました。
そこで、国際的に評価される研究を目指し、トヨタ自動車とパソナ日本総務部との協力が始まりました。今回の研究では、葉の特徴を数値化し、それを基に植物を「点」「面」「線」の3つの観点から分類する特許を取得しました(特許第7475761号)。
アンケート調査の実施
葉の形状と人々の印象との関連性を検証するため、独自のアンケート調査も実施しました。結果として、専門家と一般の方々が感じる印象はほぼ一致し、「点」の植物は「リラックス」、「面」の植物は「活気」をもたらすという実証が得られました。
具体的な実験空間とその効果
本研究に基づいて、具体的な実験空間も設計されています。「Genki-tron」と「Genki-office」という2つの空間では、異なる滞在時間における植物の心理的効果を検証しています。これにより、科学的な視点からもグリーン空間の重要性が明らかにされています。
今後の展開
研究成果をもとに、パーカーズは今後も感性と科学的エビデンスを両立させながら、より多くの人々が心地よい空間にアクセスできるよう取り組みを続けます。室内緑化が持つ可能性は無限大であり、社会のウェルビーイングの向上に向けた貢献が期待されています。
実験結果の詳細は、以下の論文に掲載されています。
Subjective mapping of indoor plants based on leaf shape measurements to select suitable plants for indoor landscapes