テレビ制作現場の危機、収益悪化と人材流出の実態とは
一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は、2025年に実施した経営情報アンケートの結果を発表しました。この調査から、テレビ番組制作会社が直面している深刻な経営問題が明らかになりました。特に、営業利益の大幅な減少と連続赤字を抱える会社の増加が注目され、業界全体に危機感が漂っています。
深刻な収益悪化
調査によると、売上高が100億円未満の企業において、営業利益は前年対比で77.08%も減少し、さらに3割以上の企業が赤字を計上しています。この結果から、経常利益も連続して赤字を抱える企業が約13.4%に達しており、業界全体に倒産の危機感が強まっていることが伺えます。
価格転嫁の壁
物価や人件費の高騰が続く中、約75%の企業が価格交渉の場に臨んでいますが、「十分に価格を転嫁できた」と回答した企業はわずか4.0%という厳しい状況です。これにより、多くの制作会社が採算を取ることができず、経営が更に厳しくなっています。
人材確保の危機
人材の確保に関しても、応募者数が年々減少傾向にあります。84.2%の所属企業が「人件費が適正に支払われていない」と回答しており、将来を担うクリエイターや制作スタッフの流出が懸念される状況です。
構造的課題
また、著作権保有率の低さや、管理費が適切に認められない契約慣行も問題視されています。特に、NHK地上波での著作権保有率がわずか7.7%という現実は、業界の構造的な弱さを示しています。
未来への展望
調査結果を受けて、研究会座長の伊藤慎一氏は「危うさを強く意識している」と述べています。彼は、テレビ制作現場で活動するスタッフの多くが、将来のコンテンツ創造に関わることを強調し、配信分野や海外展開の重要性を訴えました。また、総務省やNHK、民放テレビ局などの関係者に一層の理解と支援を求めています。
調査の背景
今回の調査は、2012年度から始まった経営情報アンケートの一環で、厳しさを増す制作会社の経営実態を明らかにするために実施されています。これまで独自に調査してきたATPですが、2024年度からは外部の有識者を交えた信頼性の高い統計分析を行うことにしています。
調査期間は2025年9月17日から10月10日で、対象となるのはATPの正会員社で、101社からの回答を得ています。
業界全体の転換が必要とされる今、テレビ制作会社は限られたリソースをどのように活用し、未来へ繋げていくのか、その道筋が問われています。
【参考資料】一般社団法人全日本テレビ番組製作社連盟
ATP公式サイト