料理研究家ベリッシモ、マニラで文化とSDGsを探求
2025年11月7日、フィリピン大学ディリマン校にて、国際的な料理研究家であるベリッシモ・フランチェスコが中心となる国際プロジェクト「未来をともに描く」が始まりました。このイベントでは、フィリピン、日本、中国、イタリアの文化と知恵が融合し、持続可能な発展目標(SDGs)を体験する機会が提供されました。
プロジェクトの背景
フィリピン大学はアジア地域における文化的なハブとして知られ、その環境のもとでフィリピンの活力、日本の美意識、中国の思想、イタリアの創造力が交差します。本プロジェクトでは、料理にまつわる基本動作「切る、盛る、待つ、片付ける」を通じて、楽しく学びながらSDGsの理念を体感することを目指しています。
イベントの様子
講義には、ベリッシモ氏と科学史研究者ダニエーレ・マクッリャが登壇し、フィリピン大学の学生たちに対して実演を交えた授業を行いました。冒頭の挨拶を行ったJosé Wendell Capili教授は、学術界と文化界の架け橋としての役割を果たし、フィリピン大学の国際的な影響力を強調しました。
料理と哲学の関係
ベリッシモ氏は、料理を通して思想的な教訓を伝えることに重きを置きます。例えば、料理の際の「切る」という行為は、無駄を省き、感謝の意を示すことを意味します。また、料理は単なる足し算ではなく、調和の芸術であると語り、食材の色や時間、空間のバランスが食卓に豊かさをもたらす重要性を訴えました。
SDGsとの関わり
本プロジェクトは、国連のSDGsと2030アジェンダに沿った内容で構成されています。フィリピン大学の学生たちは、料理を媒介として質の高い教育(SDG 4)や職業の尊厳(SDG 8)、資源の有効利用(SDG 12)、文化機関間の協力(SDG 17)などのテーマに触れることができました。これにより、学びは知識として記憶されるだけでなく、実際の行動として体現されます。
文学との交差点
食と文学の接点もこのイベントの特徴です。ベリッシモ氏は、ダンテ・アリギエーリやイタロ・カルヴィーノといった著名なイタリアの文豪の考え方を取り上げ、料理を通じた哲学的思考の重要性を解説しました。これにより、料理は文化の継承であり、情熱を注ぐことで新しい価値が生まれます。
参加者の声
参加した学生たちや関係者は、学びや料理を通じてSDGsを身近に感じられたことを喜びました。今後も同様のイベントの開催が期待され、アジアとヨーロッパの知恵がつながる機会が続くことを願います。
今後の展開
本プロジェクトは日本にも展開予定で、2026年には公開セミナーやワークショップ、大学連携授業などが計画されています。社会全体がSDGsを意識し、持続可能な未来を築いていくための重要な一歩となるでしょう。
敬意を表しながら、参加者たちはSNSを通じてこの経験を共有することを呼びかけ、#未来をともに描くのハッシュタグを使って感想を寄せ合うことが奨励されました。