ぬり絵で脳活性化
2007-10-03 09:39:11

ぬり絵がもたらす脳の活性化と認知症改善の可能性について

ぬり絵がもたらす脳の活性化と認知症改善の可能性



近年、脳の活性化を促す方法の一つとして注目を集めているのが「ぬり絵」です。杏林大学医学部精神神経科の古賀良彦教授の基調講演「ぬり絵とアンチエイジング」で、科学的に裏付けられたその効果が紹介されました。特に認知症患者に対しても、ぬり絵がもたらす治療効果が期待されています。

ぬり絵セッションと脳波の変化



古賀教授の研究によれば、ぬり絵を行うと脳のさまざまな部位が刺激され、活性化が見られます。ぬり絵を始めてからわずか30秒後には、脳内で活発に活動している証拠として「P300」という脳波が確認されることが実験から明らかになりました。この脳波は、脳が活性化している際に観察されるもので、ぬり絵作業が脳のみにとどまらず、視覚、運動、そして思考をつかさどる広範囲な領域に影響を与えることを示唆しています。

また、古賀氏はぬり絵中の脳血流を測定するための近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)も使用しました。この装置を通じて、ぬり絵をした際に脳のどの部位が酸素を多く消費しているかを視覚化することができ、実際に脳が活発に動いている様子を捉えています。

認知症患者に対する具体的な効果



特に注目したいのは、認知症患者におけるぬり絵のリハビリテーション効果です。古賀教授の研究では、都内の病院に入院中の中程度から重度の認知症患者6名を対象に、約1ヵ月間、週に4回ぬり絵を行なってもらいました。結果は、ぬり絵を実施する前の知能評価スケール(HDS-R)結果が12点から14点に向上したことを示しており、症状が進行した別のグループでは逆に得点が減少しました。

さらに、ぬり絵を行ったグループはワーキングメモリの機能も改善したことが分かっています。この機能は人間の知的作業の基盤であり、過去の記憶を引き出して判断したり行動したりするために不可欠です。ぬり絵を通じて脳の段階的な活性化が進んだ結果、患者の状態が一定の改善を見せたことは、非常に意義深い発見といえるでしょう。

脳のアンチエイジングとぬり絵の活用法



脳の健康を保つためには、定期的に脳を活用することが勧められています。ぬり絵はそのシンプルさゆえに、準備や片づけも手軽で続けやすい活動として、多くの人に推奨されます。

古賀宮は「脳のアンチエイジングには、毎日続けることが重要で、ぬり絵は特にその点で優れた手段です。今後の研究と実践を通じて、さらなる可能性が拓けることを期待しています」と話しています。

ぬり絵がもたらす脳の活性化と認知症改善の可能性は、今後ますます明らかにされることでしょう。このシンプルながら有効なアクティビティが、多くの人々に取り入れられ、広がっていくことを願います。また、脳の健康を保つためには、様々な方法を組み合わせ、バランスの取れた生活を心がけることも大切です。

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