東京サステナブルシーフード・サミット2024 (TSSS2024)
2024年10月8日から10日まで、東京都の東京国際フォーラムで開催された「東京サステナブルシーフード・サミット2024」(TSSS2024)に、約940人が参加しました。これは、持続可能な水産業の実現に向けての志を持つ多くの関係者が一堂に会する貴重な機会です。
今年のサミットのテーマは「サステナブルシーフードを主流に 〜ネイチャーポジティブ、世界食料安全保障、人権尊重〜」です。このテーマに基づいて、日本が国際的な水産市場の中でどのように責任あるプレーヤーとしての役割を果たせるかが議論されました。特に2030年を見据えた新たな目標として、「サステナブルシーフードを日本の水産流通の主流に」というビジョンが打ち出されました。
国際社会での持続可能性が求められる中、特に注目されるのは、人口増加によるタンパク質の確保とIUU(違法・無報告・無規制)漁業の撲滅です。国際的な食品安全保障に関して、日本、アメリカ、韓国、台湾などの政府関係者がIUU漁業への取り組みを紹介し、協力の重要性を訴えました。
ネイチャーポジティブと人権の視点
サミットでは、そのサブテーマである「ネイチャーポジティブ」と「人権尊重」にも焦点が当てられました。特に、生物多様性に関する情報開示への要望が高まっており、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が重要視されています。IUU漁業は、労働者に対する人権侵害の要因でもあり、その解決が急務とされています。
株式会社ニチレイの佐藤真理氏による講演では、台湾からのマグロ供給に携わるインドネシア人労働者の劣悪な労働環境が紹介され、現存する制度ではこれらの問題が防げないことが明らかにされました。このような人権と環境に関連する問題が解決されない限り、持続可能な水産業は実現しえません。
未来へのロードマップ
日本は豊かな水産物を誇る国であり、沿岸漁業の国でもあります。TSSS2024では、IUU漁業や人権侵害を排除した理想の水産市場を描くと共に、地域社会が活性化する持続可能な沿岸漁業の重要性が強調されました。これを実現するためには、マルチステークホルダー及び国際的な協力が必須です。
また、来年の2025年に開催されるサステナブルシーフード・サミットでは、さらなる進展と成果を期待される中、大阪での再会を楽しみにしています。
特別コンテンツと感謝の気持ち
TSSS2024の開催を記念して、特別なウェブページが開設され、10年間のサステナブル・シーフードの取り組みがまとめられた冊子も発行されました。さらに、2030年度の目標への賛同を募るパネルが参集し、434もの宣言が集まりました。
サミットの成功は、すべての参加者や協力企業の尽力があってのことです。心から感謝すると共に、未来の水産業の持続可能性に向けて、引き続き取り組んでいきたいと考えています。