製造業の変革を加速する「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」
2020年初頭の新型コロナウイルス感染症の世界的流行以降、サプライチェーン寸断リスクは、国内製造事業者の大きな課題となっています。世界的な地政学的リスクや国内災害の増加も相まって、サプライチェーンの安定化はますます重要性を増しています。
このような状況下、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、製造現場の柔軟性と迅速性を高める「ダイナミック・ケイパビリティ」強化を目指し、2021年度から「5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業」を実施しています。
この事業の一環として、NEDOは「製造現場のダイナミック・ケイパビリティ強化施策と今後の普及に係る調査事業」を行い、その成果として「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」を公開しました。
本ガイドラインは、製造事業者が直面する経営課題を解決するために、デジタル技術を活用した全体的なプロセス最適化を支援するものです。特に、経営・業務変革課題の特定を起点として、デジタルソリューションの導入を企画・構想設計する段階に焦点を当てています。
7つのリファレンスでスマート化を促進
ガイドラインでは、製造事業者が自社に合ったスマート化の道筋を描くための考え方や目指す姿を具体的に示す「7つのリファレンス」が提示されています。
経営戦略とスマート化の方向性: 企業全体の戦略に基づいたスマート化の方向性を定めるためのリファレンスです。
スマート化推進体制の構築: スマート化プロジェクトを成功させるための組織体制や人材育成、ガバナンス体制を構築するためのリファレンスです。
データ利活用による価値創造: データ分析やAIを活用し、新たな価値を生み出すためのリファレンスです。
サプライチェーンの最適化: サプライヤーとの連携強化、サプライチェーン全体での可視化・効率化を図るためのリファレンスです。
デジタル技術の導入と活用: 5G、IoT、AIなどのデジタル技術を導入し、生産プロセスを革新するためのリファレンスです。
人材育成と組織変革: スマート化に対応できる人材育成、組織文化の変革を促すためのリファレンスです。
セキュリティ対策とリスク管理: 情報セキュリティ対策、サイバー攻撃対策、リスク管理体制を構築するためのリファレンスです。
これらのリファレンスは、ガイドラインの本文で詳しく解説されています。さらに、各リファレンスは別紙として詳細にまとめられているため、実際にスマート化プロジェクトを進める際に、具体的な手引きとして活用できます。
スマート化プロジェクトの推進を支援
本ガイドラインは、スマート化プロジェクトのリーダー役を担う管理職やプロジェクトオーナーの経営層、各部門の実務リーダーにとって、有効な「手引き」となることが期待されます。
具体的には、以下の点が期待されています。
スマート化への理解を深める: スマートマニュファクチャリングの概念や重要性を理解し、具体的な導入方法を検討できるようになります。
課題解決のための指針を得る: 自社の経営課題に合わせたスマート化戦略を策定する際に、具体的な指針や解決策を得ることができます。
プロジェクトの成功確率を高める: 各リファレンスに基づいて計画を立て、プロジェクトを効率的に推進することで、成功確率を高めることができます。
本ガイドラインは、国内製造業のスマート化を促進し、競争力強化に大きく貢献すると期待されています。
関連リンク
* スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン:
https://www.nedo.go.jp/library/smart_manufacturing_guideline.html