骨と関節の重要性を認識する「運動器の月間」
10月は、公益社団法人日本整形外科学会が提唱する「運動器の10年・骨と関節の月間」です。この期間は、骨や関節、つまり運動器の大切さを広く知ってもらうためのさまざまな催しが全国各地で開催されます。特に、10月8日は「運動器の10年・骨と関節の日」として、特別な意味を持つ日となっています。
この取り組みは、1995年から毎年行われており、運動器に関する障害や疾患、治療法、予防策についての情報提供を目的としています。今年も、9月12日に「ロコモティブシンドローム」、いわゆるロコモをテーマにした記者説明会が開催されました。ロコモは2007年に提唱された概念で、骨、筋肉、関節などの運動器に障害が生じた結果として、移動能力が低下する状態を指します。
ロコモの増加する危険
ロコモの主な原因としてあげられるのは、変形性腰椎症、変形性膝関節症、骨粗しょう症です。これらの疾患を抱える患者数は国内で約4,700万人と推定されており、特に高齢者においては、加齢とともに運動器の疾患が複合的に現れやすく、深刻な状態に陥ることがあります。説明会で講演された、千葉県柏市の名戸ヶ谷病院の院長、大江隆史氏は、「2025年問題」と呼ばれる社会的課題に対して、ロコモ対策が急務であることを強調しました。
大江院長は、「高齢化が進む社会において、運動器の健康状態は不十分であり、生活習慣の変化によって運動機会が減少しています」と述べています。実際、最近実施された調査によれば、日常生活で階段を使う人よりもエスカレーターやエレベーターを利用すると答えた人が過半数を超え、1kmの距離も車やバイクで移動する人が4割を占めています。また、自身の移動能力を年齢相応であると考える人も多い一方、運動器に関する検査を受けたことがある人は1割にも満たなかったのです。
ロコモ度テストの導入
今年の5月には、移動能力を客観的に測定できる「ロコモ度テスト」が学会から発表されました。このテストには、脚力を測る「立ち上がりテスト」や、歩幅を確認する「2ステップテスト」、生活状況を調べる「ロコモ25」などが含まれています。学会では、このテストに関する情報をパンフレットとして制作し、全国の自治体や関連する機関に提供する形で、ロコモの予防と認知向上に努めています。
まとめ
「運動器の月間」を通じて、私たちは骨や関節の健康を守ることがいかに重要であるかを再認識することが求められています。運動器の健康は、生活の質を向上させるためにも欠かせない要素です。今後も運動機会を増やし、健康な体作りを心がけることが必要です。詳細な情報や行事の予定は、日本整形外科学会の公式WEBサイトで確認することができます(
日本整形外科学会のWEBサイト)。また、ロコモ度テストについては、「ロコモチャレンジ!推進協議会」のサイトでも情報が公開中です(
ロコモチャレンジ!推進協議会のWEBサイト)。