東京オフィス市場、堅調な需要と賃料上昇が続くも、エリア格差拡大
コリアーズ・インターナショナル・ジャパン株式会社(以下、コリアーズ・ジャパン)は、2024年7~9月期の「東京オフィスマーケットレポート」を発表しました。同レポートによると、東京主要5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のグレードAオフィス市場は、需要が供給を上回り、空室率は低水準を維持しています。賃料水準も緩やかな上昇が続いており、市況は回復基調です。しかし、エリアによって需給バランスの二極化が顕著になっています。
需給バランスの二極化
東京駅や品川駅周辺エリアでは、空室率の低下と賃料の上昇基調が続いています。一方で、港区の内陸部では、大規模な新規供給によって空室の解消に時間を要しています。
供給面と需要面
2024年7~9月期までに、2024年に予定されていたすべてのグレードAオフィスが竣工しました。しかし、一部の物件では、オフィスとしての運用開始が竣工から数ヶ月から1年以上先に設定されているケースがあり、実際にオフィスとして稼働するまでの間にタイムラグが生じています。
2024年通年の需要は、供給を上回る見通しで、特に立地の良い物件やグレードの高いビルでは、着実な空室消化が進んでいます。この需給環境を反映して、賃料水準は緩やかながらも上昇基調を継続しています。
各エリアの動向
丸の内・大手町エリアでは、空室率は前期比0.5ポイント低下し2.4%となりましたが、賃料は前期比1.3%下落し45,200円/坪となりました。これは、エリア内でも相対的に賃料水準の高い物件の空室が払底しつつあるためです。
日本橋・八重洲・京橋エリアでは、空室率は前期比0.6ポイント上昇の2.3%となりました。賃料は前期比0.8%下落し41,900円/坪。既存テナントの増床ニーズは引き続き強く、高い競争力を維持しています。
赤坂・六本木エリアでは、空室率は前期比6.7ポイント上昇し、13.4%と大幅に上昇しました。これは、大型オフィスビル「赤坂トラストタワー」の竣工が大きく影響しています。ただし、同物件はオフィスが本格稼働する二期竣工を2025年10月に予定しています。その他の既存物件では、緩やかながら空室は解消に向かっています。
品川・港南エリアでは、空室率は前期比0.9ポイント低下し、3.0%まで改善しました。賃料も前期比2.45%上昇し26,700円/坪となり、エリアの競争力が見直され、着実な回復を示しています。
渋谷・原宿エリアでは、好調な新築物件に支えられ、空室率は概ね横ばいを維持し、賃料は1.5%上昇しました。
西新宿エリアでは、空室率は前期比0.5ポイント上昇し5.3%となりました。賃料は前期比0.7%下落の28,200円/坪。他の主要エリアと比較して市況回復が遅れています。
今後の見通し
2024年末に向けては、10~12月期に竣工が予定されているグレードAオフィスはなく、新規供給が抑制される一方で、需要が供給を上回る見込みです。そのため、需給環境は改善基調が続く見通しです。企業の人材獲得競争を背景としたオフィス環境改善の動きは継続しており、特に交通利便性の高いエリアに立地し、最新のアメニティを備えたグレードの高いビルへの需要は堅調に推移すると予想されます。
コリアーズ・ジャパンについて
コリアーズ・ジャパンは、東京・大阪の拠点に100人以上の専門家を擁し、国内外の投資家・オーナー・テナント向けに、オフィスリーシング、インダストリアルリーシング、リーシングマネジメント、キャピタルマーケット、インベストメントサービス、プロジェクトマネジメント、デザインビルド、ワークプレイスコンサルティング、不動産鑑定、ホテルズ&ホスピタリティのアドバイザリー業務を提供しています。
関連情報
「東京オフィスマーケットレポート|2024年第3四半期(7‐9月期)東京主要5区・グレードAオフィス」は、コリアーズ・ジャパンのウェブサイトからダウンロードできます。
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