三島竹島の学びが文化交流と平和を実現するプロジェクト

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト（以下、なかよし学園）が、鹿児島県三島村に位置する三島竹島学園と共同で「世界とつながる学びプロジェクト」を進めています。このプロジェクトでは、三島竹島学園の生徒たちが制作した竹製のけん玉や地域特産の食文化を海外に届けることで、日本文化を広め、さらには平和活動につなげることを目的としています。

学びの架け橋

なかよし学園が展開するこのプロジェクトは、全国の小中高等学校や特別支援学校など、約50の教育機関と連携し、世界10ヵ国における現状を伝える活動を行っています。これにより、児童生徒たちが作成した教材やアイデアが世界の各国で学びのツールとして活用されることを目指しています。プロジェクトの一環として、2025年度には経済産業省の補助金事業にも採択されました。

具体的には、2025年7月から8月にかけて、シリアのアレッポやルワンダのキガリで、三島竹島の生徒たちが手掛けた竹のけん玉が教材として利用されます。この事業は、日本人の知恵である「身近な素材を活かした道具づくり」を学ぶ授業の一環として導入され、現地のこどもたちに日本文化と創造力の重要性を伝える役割を果たします。

竹のけん玉を通じた国際交流

ルワンダとシリアという2つの国での取り組みは、両国の歴史とも深く関連しています。ルワンダは1994年に発生したジェノサイドからの復興を目指し、教育を基軸とした平和構築活動が進められています。一方シリアでは、2011年から続く内戦を経て2024年12月に革命を成し遂げ、教育機関や現地政府と連携しながら、政治的立場にとらわれない形での支援を行っているのです。

こうした背景のもと、なかよし学園は教育を通じた平和構築を行い、それぞれの国に適した支援の形を模索しています。特に、このプロジェクトを通じて、島の特産品である大名竹やハマギ餃子も紹介され、現地では「日本の味」として受け入れられました。

地域資源を活かす活動

三島村竹島は、鹿児島県の小さな島であり、大名竹やハマギ餃子といった地域資源に恵まれています。なかよし学園は、これらを活かして教育活動を発信し、特に島の子どもたちが自らの手で作り上げた教材や特産品が世界に通じることに大きな意義を見出しています。さらに、地域の子どもたちが自らの学びが国際的な場で評価されることで、教育への関与や地域の価値を再認識する機会にもつながっています。

子どもたちの未来を切り拓く

「自分たちが作った特産品や教材が、遠くの国の子どもたちに届くことがどのような反応につながるかを知ることは、島の価値に気づくきっかけになります」と語るのは、NPO法人みしまですよの理事長、山﨑晋作さん。彼は、地域の特産品を通じて、子どもたちの学びが世界とつながる実感を与えることが、未来を担う世代の大きな成長に貢献すると信じています。

なかよし学園の取り组みは、鹿児島と国際社会をつなげる重要な活動であり、子どもたちの教育を通じて地域の価値を見出すことを促しています。未来の人材育成につながるこうした活動を、今後も持続的に展開していくことが期待されています。

今後の展望

なかよし学園は「世界とつながる学びプロジェクト」を通じて、地域の教育資源を国際的な平和教育に結びつける活動を引き続き拡大していく方針です。これまでに、長崎県の壱岐市や対馬市など離島での取り組みを通じ、地域の課題と教育を結びつける事業を展開してきました。今後も、子どもたちが地域の特産品や文化を教材にした学びを通じて、世界に向かって発信していくことが重要な意義を持つことは間違いありません。

教育資源が限られた地域においても、材料を用いた創意工夫を通じて「学び」や「地域の誇り」を育む取り組みは、様々な教育機会を通じて国際貢献につながる重要なモデルとして評価されています。なかよし学園の活動を通じて、子どもたちの未来を切り拓く新たなステージが開かれることを願っています。