富山の体験型施設「トトン」が始めた古椅子再生プロジェクト
富山県富山市に位置する「トトン」は、ライフスタイルを提案する複合施設です。2022年9月23日にオープンして以来、家具の循環(回収・再生・販売)を中心にした様々な資源循環を体感できる場として、多くの人々に利用されています。サステナブルな家具や雑貨の販売に加え、リペアやDIYが楽しめるスペース、さらにはカフェやコワーキングスペースも併設されており、「作る」「買う」「食べる」「働く」といった多様な体験が可能です。
「トトン」が新たに始めたプロジェクト「C±C CHAIR&COLOR」は、古い椅子をデザイン思考で再生させる試みです。このプロジェクトは、プロダクトデザイナーと塗装職人が手を組み、古いために廃棄されがちな椅子たちを再び生活に取り入れようとするものです。廃棄を避けるために必要なのは、新たな価値、すなわち「アップサイクル」です。
プロジェクトの背景と目的
日々、お客様から引き取った古い家具が米三の倉庫に運ばれています。適切に処理するためには多額の費用がかかるため、使える家具を再生する方法に注目が集まっています。この背景から生まれたのが「C±C」プロジェクトです。プロダクトデザイナーと塗装職人と共に、椅子の素材に応じた独自のデザイン塗装を施し、古い椅子に新たな命を吹き込むプロジェクトとして進行しています。
特に注目すべきは、「色の算数」というデザイン塗装のアプローチです。この手法では、通常椅子に色を加えるのではなく、白い塗装を施すことで、元の椅子から色を「引く」ことで新たなデザインを生み出します。これにより、古い印象の椅子を再び使用できるようにし、元々の色や素材感を活かした表現を可能にします。
展示概要と体験の内容
プロジェクトの一環として行われる展示では、デザインによる吹付塗装を施した椅子が15脚並びます。来場者は、デザイナーの思考過程を感じながら、家具塗装の新しい可能性を理解できる機会が提供されます。また、プロジェクトに携わったデザイナーの宮田孝典氏は、椅子の選定からプロジェクトに参加しており、見た目だけでなく、家具としての機能を重視して選ばれた椅子たちが展示されます。
彼は、椅子が新たに生まれ変わった際に、暮らしの中で「ちょっと良いね」と感じてもらえればと願っています。このように「トトン」は、ただの家具販売を超えた、サステナブルで新しいライフスタイルの提案を続けています。
展示の詳細
- - 会期: 2023年2月16日(木)〜28日(火)10:30〜18:00
- - 会場: トトン1階エントランス(入場無料)
- - 所在地: 富山県富山市問屋町1丁目9-7
- - 営業時間: 10:30~18:30
- - 運営会社: 株式会社米三
「トトン」は、単なる家具のリサイクルでなく、未来のライフスタイルを形作る場としての役割を果たし続けていくのでしょう。今後の活動にも期待が寄せられます。