江戸切子協同組合が創立70周年を迎え、特別記念誌を発行
江戸切子協同組合(東京都江東区)は、2024年に創立70周年を迎えるのを機に、「創立70周年記念誌」を発行しました。これまでの記念誌は10年ごとに発行されてきましたが、今回は初めて全編カラーでの制作となっています。
記念誌の内容は非常に多彩で、特に注目すべきは、毎年開催される「江戸切子新作展」の10年間の出品作品を全て収めたことです。この展覧会は、伝統工芸士を目指す若手職人の登竜門であり、次世代の育成にも寄与してきました。各作品が写真付きでサイズ別に詳しく掲載され、読み手は江戸切子の美しさを実感できます。
江戸切子の歴史と専門家の寄稿
記念誌には、江戸切子の歴史やその伝承に関する専門家の寄稿も含まれています。特に「日本におけるカットガラスの歴史」というテーマで、ガラス工芸の専門家が特別寄稿を行い、近世から現在に至るまでの切子の変遷を年表形式で紹介しています。
さらに、記念誌には江戸切子がどのように日本の伝統的な工芸品として確立されてきたのか、その経緯や活動実績を詳しく説明するセクションも設けられています。江戸切子は東京都の伝統工芸品にも指定され、地域団体商標としての登録内容や活動の詳細も紹介されています。
明治期の技術者の貴重な写真
特に興味深いのは、明治初期に日本にお雇い外国人として来日したイギリス人技師、エマニュエル・ホープトマン氏の貴重な写真です。これらの写真は彼の子孫の協力により収められ、日英の文化交流事業の一環としても価値あるものとなっています。
このような歴史的な資料を通じて、江戸切子の魅力や、日本の工芸における国際的な影響も感じられる内容となっています。
変化する江戸切子の現在
また、記念誌では新型コロナウイルスの影響やインバウンド需要、職人の作品表現、インターネットの活用など、時代の変化に関する話題も扱われています。2023年には、産地の動態調査を行い、人員や産業構造の変化についての記録も一部掲載されています。
洗練されたデザインと寄贈先
編集は、伝統工芸や和文化の発信に精通した有限会社ブレインカフェが担当し、視覚的にも美しいA4サイズ・全編カラーのレイアウトが採用されています。この記念誌は江戸切子の工房だけでなく、希望する職人にも配布されています。
さらに、本誌は国立国会図書館や関係団体、東京都・埼玉県内の産地自治体図書館にも寄贈される予定で、一般販売は行われませんが、都市の図書館を通じて閲覧の機会が提供されます。過去の50周年、60周年記念誌の残部も含まれ、教育や学術研究に役立てられることを目指しています。
江戸切子の職人たちが築いてきた歴史と技術を次世代に引き継ぐため、江戸切子協同組合は今後も様々な活動を続けていくことでしょう。
問い合わせ先:
江戸切子協同組合
東京都江東区大島2丁目40番5号
TEL 03-3681-0961
FAX 03-3681-1422
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