若者の希死念慮受け止める重要性とその実態調査の結果

背景
特定非営利活動法人Light Ring.が行った調査により、全国で約23万人の若者が日常的に身近な人からの希死念慮の訴えに接していることが明らかになりました。この調査は自殺予防週間に併せて発表されたもので、希死念慮を抱える人の周囲の若者たちの実態を浮き彫りにしています。

調査の概要
Light Ring.の調査は、大学生と中学生を対象に行われ、157名からの有効回答が得られました。その結果、調査対象者の2.5％が「希死念慮を抱える人の話を受け止めた経験がある」と答え、全国の15〜24歳の若者931万人に換算すると、約23万人が希死念慮者の相談に対応していることが推計されました。同様に、Light Ring.の運営するコミュニティに参加している130名を対象にした調査では、46.2%の人が「実際に会ったことのある友人」を支え、61.5%がその友人が希死念慮を抱えていると考えて回答しています。

若者たちの不安
調査結果からは、若者たちが身近な人の希死念慮に向き合う中で抱える不安や葛藤が浮き彫りにされました。特に希死念慮者は、スティグマやエネルギーの低下、恐怖心から専門のサポートを受けることが難しいという現実があります。そのため、彼らと接する若者たちが最初に危機に気づく存在となり得ることが、この調査で示されています。

必要な支援の幅
特に注目すべきは、希死念慮を抱える人が周囲にいる際に適切に支援できる知識や能力を持つ若者が少ないことです。日本財団の2023年調査によれば、希死念慮が生じた場合に相談する相手として最も多いのは「友人・同級生」であり、半数以上がどう支えたら良いかわからないという現状があります。このことからも、支え合う文化が必要であることが明確です。

代表理事からのメッセージ
Light Ring.の代表理事である石井綾華さんは、友人や同級生が既に多くの若者の命を支えていることを強調しています。しかし、支える側が適切な手法を知らずに悩んでいる現状を鑑みると、社会全体でこの問題に取り組む必要があると語ります。支える側もまた支えられなければならないとし、国レベルでの制度強化が求められているとして、取り組みの重要性を訴えています。

Light Ring.の取り組み
Light Ring.は自殺、孤独、精神的な健康に関わる社会課題に注力しているNPOです。彼らの活動は「若者が若者を支える」というコンセプトに基づき、精神疾患の治療ではなく予防に重点を置いています。希死念慮を持つ人々とその周囲の人々が相互に支え合える環境を整備することを目指しており、社会的な孤立を緩和するための具体的な施策を遂行しています。

まとめ
若者たちが希死念慮を抱える身近な人々を支え続けることは、個人の側面にとどまらず、社会全体の課題として取り組むべき重要なテーマです。彼らが抱える不安や孤立感を解消し、自殺予防に繋がるネットワークを構築するためには、支え並びに支援が欠かせないということを忘れてはなりません。