岡山大学が進める聴覚支援の最新取り組み
2023年9月19日、岡山大学に世界的な補聴器メーカーOticonの研究責任者、セバスチャン・サントゥレット博士が訪れました。この訪問は、岡山市や大学が行う聴覚支援の取り組みを視察し、意見交換の場となりました。
聴覚支援の現場を視察
博士一行は、まず岡山の「岡山かなりや学園」を訪れました。この施設は日本で初めて設立された難聴幼児通園施設であり、令和4年に新たに建設されました。現在、80人以上の子どもたちが通うこの園では、補聴器や人工内耳を用いた療育が実施されており、見学を通じて具体的な支援の方法を理解しました。
施設の見学では、医療と教育の連携の重要性や、日本におけるインクルーシブ教育の現状についての説明も受けました。この点については、デンマークの教育体制との違いにも目を向けながら、より良い支援の実現に向けた意見が交わされました。
行政との連携
続いて岡山市役所に移動し、加齢性難聴に対する対策について話し合いが行われました。この日、世界アルツハイマーデーに合わせて、講演やパネル展示が開催されており、早期発見・ケアの重要性を啓発するビデオや聴覚検診車「Audika Go」を使った診断の様子も披露されました。博士は、このような行政、大学、企業が一体となった取り組みが国際的にも珍しいとのことで、非常に評価しました。公民連携の成功事例として、今後の展開に期待を寄せています。
地域に根ざしたモデルの構築
岡山大学とデマント・ジャパン株式会社は「City for Better Hearing」という連携協定を結んでおり、地域密着型の聴覚支援モデルを推進しています。この取り組みは、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)の一環でもあり、国際的な視点からも意義のあるモデルを目指しています。
聴覚支援センターの片岡祐子センター長補佐は、「聴覚障害児への支援がまだ十分でない現状を直視し、医療や療育、行政、企業が協力して、この問題に立ち向かう必要がある」と述べました。また、加齢性難聴と認知症の関連性にも触れ、「実践的かつ展開性のある良いアプローチを全国に広げて行きたい」との意気込みを語りました。
今後の展望
今回の訪問を通じて、岡山大学とOticonの連携は一層深まることでしょう。地域密着型の支援を国際的な流れと融合させ、聴覚支援の新たなモデルを築くことを目指しています。今後の進展に目が離せません。岡山大学ではさらなる取り組みへの期待が寄せられています。
聴覚検診や補聴器購入助成など、岡山市でも市民の聴覚健康を守るための施策が展開されています。聴覚支援の重要性が広まる中、岡山大学の活動にも注目が集まっています。詳しくは岡山市の公式サイトをご覧ください。知識を一緒に深めて、より良い社会を築いていきましょう。