エプソンによる革新技術:新型OCXO
エプソンが次世代の通信システムに向けて新たに開発した恒温槽付水晶発振器(OCXO)『OG7050CAN』は、従来のモデルと比べて56%もの消費電力削減を実現しました。この技術革新には、モバイル通信やデータセンターの急速な進化に伴い、高まる通信データトラフィックへの効果的な対策が求められています。
進化する通信技術とOCXOの役割
現代の通信環境では、5GやIoT技術が普及し、データセンターのAI利用が広がる中で、基準信号源の性能はより厳しくなる傾向があります。OCXOはその求められる性能を満たすために、従来型に比べて小型かつ低消費電力であることが重要です。データ通信が生まれる背景では、信号を安定供給するための基準装置が必要不可欠であり、エプソンはそのニーズに応えるべく最新の技術開発に挑戦しました。
開発の過程と新技術の詳細
OCXO『OG7050CAN』は、エプソンの独自技術を駆使して開発されたもので、水晶デバイス、半導体技術、実装技術の融合によって実現しました。特に大きな成果は、恒温槽の小型化と低消費電力構造にあります。
具体的には、従来の円形構造から長方形構造へと設計を見直すことで、SCカット振動子を90%小型化しました。これに伴い、恒温槽自体は96%も体積が減少し、必要な電力量も大幅に削減されました。また、独自に開発した発振ICやヒーターICを搭載し、これらを内部接着剤で高断熱化することにより、熱損失を抑えつつ温度安定性を確保することに成功しました。
数値で見る性能
新型OCXOは、25℃の環境下において0.2 Wの消費電力を実現、これが従来品に比べて56%の低減を実現しています。サイズも7.0mm x 5.0mmというコンパクトさで、高い周波数安定性を持つことから、通信装置やデータセンターでの使用が期待されています。さらに、起動時間30秒で±20ppb以内の周波数安定性を確認しており、運用効率の向上が見込まれます。
展示イベントと今後の展望
この新型OCXOは2025年4月からサンプル提供を開始し、11月にスペインで開催予定の『The International Timing and Sync Forum(ITSF 2024)』においても紹介されます。エプソンは、時刻同期に関する最新情報を発信するこのフォーラムにゴールドスポンサーとして参加し、業界関係者とのシナジーを図る予定です。
今後もエプソンは水晶デバイスのリーディングカンパニーとして、技術革新を進め、さまざまな電子機器や社会インフラ向けの高機能製品を提供し続けます。
まとめ
エプソンの新開発OCXOは、通信技術の進展に対応する重要な技術革新であり、今後の通信インフラに貢献することでしょう。