SPシャント手術の新研究
2024-12-09 09:23:32

弘前大学との共同研究が示すSPシャント手術の新たな血流制御法

弘前大学との共同研究が切り開く新たな血流制御法



2024年度の日本胸部外科学会で、弘前大学との共同研究が注目を集めました。テーマは「SPシャント手術の血流制御法におけるCFD研究」です。この研究では、チアノーゼ性心疾患の患者に対して行われるSPシャント手術における血流の調整方法を数値流体力学(CFD)を用いて解析し、より安全で効果的な手術方法を模索しました。

研究の背景と目的



systemic-to-pulmonary artery shunt(SPシャント)は、主に小児の先天性心疾患患者に対して行われる姑息手術の一つです。この手術では、血流を調節するために部分的にグラフトにクリップをかけることがありますが、これには血栓形成やシャント閉塞というリスクが伴います。本研究では、これらのリスクを軽減し、患者の死亡率を下げることを目指しました。

特に注目したのは、グラフト内における血流停滞が血栓形成の一因であるという点です。血流の可視化を通じて、クリップ周囲で発生する血行動態を解析し、より良いクリッピング法の探求を行いました。これにより、小児先天性心疾患患者の術後の生活の質(QOL)を向上させる可能性があるのです。

研究の方法



本研究では、CFD解析を実施し、SPシャント手術におけるグラフトの部分クリッピングに伴う血流の変化を観察しました。解析の結果、クリッピング部をまたいだ流路が確認され、血流の停滞が発生する領域が特定されました。さらに、血流停滞を大幅に減少させる新しいグラフト形状も発見しました。

研究の意義と展望



この研究がもたらす意義は計り知れません。血流制御の新しい手法を導き出すことで、先天性心疾患を抱える小児患者の術後QOLを改善する道筋が開けるでしょう。また、研究中には、クリッピング後には抗凝固療法を検討する必要性が浮かび上がりましたが、それに加え、血流停滞を引き起こさない新たな血流制御法を探る努力も継続していく方針です。

共同研究者の小渡亮介さんも、研究の意義を強調し、「教科書に載るような仕事になる」と期待を寄せています。また、坂本喜三郎先生からは「この研究は分野の考え方を根本的に変えるかもしれません」と評価され、大きな励みになったと話しています。

今後、少子化が影響を与える中で、海外の症例数には勝てない部分もありますが、数学や物理学の知識を活用して、さらに価値ある研究成果を発表し続けていく意欲を示しています。

まとめ



弘前大学との共同研究は、医療現場における革新的な変化を促す可能性を秘めたものです。CFD解析を通じて、新しい手法が確立されることで、多くの患者の未来が明るくなることを期待しています。


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会社情報

会社名
株式会社MedicalCirculator
住所
福島県双葉郡大熊町下野上字清水230
電話番号

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