慶應義塾大学が念願のジャンプ高測定法を確立
スポーツのパフォーマンス向上のために、客観的な評価は欠かせません。特に、ジャンプ高の測定は選手の能力を示す重要な指標とされています。しかし、既存の測定方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。
慶應義塾大学体育研究所の稲見崇孝准教授を中心とした研究チームが新たに開発した手法は、従来の測定法の問題を解消し、より手軽に精度の高いジャンプ高が測定可能となりました。従来の「力積法」は高い精度で知られていますが、その反面、特別な機器が必要で持ち運びも難しく、基本的には実験室でしか行えません。また、専門知識が求められるため、一般の人が気軽に使える方法ではありません。
一方、「滞空時間法」は、簡易な機器を使用することで誰でも測定が可能ですが、最大10cmも過大評価するリスクがあり、信頼性には欠けると言われていました。これらの不足を補い、ジャンプ高の測定精度を向上させることが今回の研究の目指すところでした。
新たな測定法は、「JumpEye」というアプリに実装されています。このアプリは、スマートフォンのカメラを利用し、ジャンプの際に大転子が離地する高さを水平線として記録し、その後改めてその水平線を通過するまでの時間を測定することによって、ジャンプ高を算出します。この方法により、軽量なデバイスを携帯しつつ、精度の高いデータを得ることが可能となります。
スポーツ科学の分野では、ジャンプ高は選手のパフォーマンスやコンディションを測るための重要な指標とされています。本研究によって、各競技におけるパフォーマンス分析が進むことが期待され、アスリートたちは自らの能力をより正確に把握し、さらに高みを目指せるようになるでしょう。
この画期的な研究結果は、2024年11月5日付でInternational Journal of Sports Physiology and Performanceに掲載されました。
皆さんが抱く「スポーツ」と「科学」の距離が、一歩近づいた瞬間です。
詳しい情報は、慶應義塾大学のプレスリリースをご覧ください:
慶應義塾プレスリリース