かかりつけ薬剤師の現状
2018-10-18 18:00:31
薬剤師が語る「かかりつけ薬剤師・薬局」制度の現状と課題とは
薬剤師が語る「かかりつけ薬剤師・薬局」制度の現状と課題
はじめに
「かかりつけ薬剤師・薬局」制度は、平成28年4月に導入され、個々の患者の医療情報や服用薬を一元的に管理することを目的としています。この制度は、薬剤師が患者に対して副作用や飲み合わせの相談を行うことができるだけでなく、夜間や休日にも調剤サービスを提供することを可能にします。地域社会における薬剤師の役割が期待されている一方で、制度自体が現場にどのように浸透しているのか、また、薬剤師自身がどのように感じているのかを調査した結果が公表されました。
調査概要
調査を通じて、多くの薬剤師が「多剤・重複投薬の防止」や「残薬の解消」など、生活者にとってのメリットを十分に認識しています。しかし、実際に制度が浸透していると感じている薬剤師はわずか8.8%であり、制度に対する認知の低さが浮き彫りになりました。
認知の低さと現場の声
調査によると、「かかりつけ薬剤師・薬局」が必要だと考える薬剤師は全体の43.7%にとどまり、現場経験者の57.7%が制度の必要性を訴えているものの、実際に制度が浸透しているとの回答は少ないことが明らかになりました。これは、薬剤師の仕事が幅広くなりつつある一方で、制度そのものへの理解や業務の負担感が影響している可能性があります。
薬剤師の本音
多くの薬剤師が、かかりつけ薬剤師としての教育やサポートが不足しており、そのために制度に対して後向きな意見が多いことも分かりました。特に求められるスキルの面で、「疾病情報の知識」や「コミュニケーションスキル」が重視される一方で、81.9%がかかりつけ薬剤師になりたくないと回答しています。この背景には、働き方改革や人材不足など、薬局の環境に対する不安が影響しているようです。
かかりつけ薬剤師の未来
薬剤師の役割が拡大していることに対しては、72.4%が「良いことだと思う」と回答していますが、その中にあるジレンマが浮かび上がります。制度自体は地域の健康を支えるための重要な手段であると認識されながらも、実際には多くの薬剤師がその負担を感じているのです。
結論
「かかりつけ薬剤師・薬局」制度は、薬剤師にとってやりがいのある挑戦である一方で、実際には多くの課題を抱えています。地域医療を支えるために、この制度が本当に浸透するためには、教育やサポート体制の整備が必要です。今後、地域における薬剤師の役割がどのように進化していくのか、注目が集まります。
参考文献
NPO法人HAP
大塚製薬株式会社
会社情報
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