建設・不動産業界におけるハラスメント問題の現状
最近実施された調査によると、建設・不動産業界は他の業種に比べてハラスメントが多いと感じる人々の割合が49.7%に達しており、これは業界別で最も高い数字です。この調査は、一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会(RCIJ)が実施したもので、322名の男女を対象に、業界別の職場環境や職種イメージについての意識を調査した結果が反映されています。
調査結果の概要
ハラスメントの認識
特に注目すべきは、建設・不動産業界において最も多く挙げられたハラスメントの種類が「パワーハラスメント」で、これに関連する回答は74.8%を占めています。さらに、ジェンダーハラスメントやセクシャルハラスメントについてもそれぞれ41.3%、34.2%と高い数字を示しています。これは、過去においては黙認されがちだった問題が、より一層社会的な関心を引いていることを示唆しています。
職場のダイバーシティとイメージ
また、調査では「ダイバーシティが進んでいない」と感じる業界としても建設・不動産業界が32.3%と最多であり、これは業界内の上下関係や指導者の態度が今必要とされる多様性の理念に反しているかもしれないことを意味しています。さらに、建設・不動産業界に対する職場イメージとしては、「体育会系で上下関係が厳しい」(54.0%)、男性中心で女性が活躍しにくいと感じている人が48.1%も存在することが明らかになりました。
影響を与える媒体
調査結果において否定的なイメージを持つ情報源として、テレビや新聞などのニュースが29.2%、SNS上の個人の投稿などが23.0%と比較的高い割合を占めています。これにより、メディアがいかに重要な役割を果たしているかが理解できます。
専門家のコメント
RCIJ代表理事である大杉春子氏は「『うちは昔からこうだから』という慣習が知らぬ間にリスクとして表面化します。組織の外からどう見えるかを意識することで、備え方や守り方が変わるのではないか」と述べています。このコメントは、企業が内外の視点を持ち、改善へ向けた戦略を考える必要があることを示唆しています。
取り組みの一環としてのワークショップ
RCIJでは今回の調査結果を踏まえ、建設・不動産業界の管理職を対象に、「職場コンプライアンスと企業責任」をテーマにした参加型ワークショップを開催します。ここでは、ハラスメントや内部告発、SNSでの拡散といったリスクにどのように備えるかについて、実際のケースをもとにした学びの場が用意されています。開催日や詳細については公式サイトにて公開されています。
まとめ
今回の調査結果を通じて、建設・不動産業界におけるハラスメント問題がいかに深刻であるかが明らかになりました。企業はこの課題に対して真剣に向き合わなければならず、職場環境の改善やダイバーシティの推進が急務です。私たちがこの問題をどのように解決していくかが、今後の業界全体の発展につながるでしょう。