旭化成が新工場を川崎で建設、クリーン水素製造の能力拡大
旭化成株式会社は、神奈川県川崎市に新たな工場を設立することを決定しました。この工場は、クリーン水素製造に必要なアルカリ水電解システムと、食塩の生産に使用されるイオン交換膜法食塩電解プロセスを支える電解用の枠や膜の生産を行います。2024年12月には、日本の経済産業省が夏採択したクリーン水素に関する「GXサプライチェーン構築支援事業」にも合格しており、サプライチェーンの強化に寄与することが期待されています。
新しい工場の生産能力は年間2GW以上を予定しており、2028年度から稼働を開始する予定です。旭化成は、既存の食塩電解プロセスに組み合わせることで、年間で3GWを超える生産能力を目指します。これにより、クリーン水素製造市場への本格的な参入が可能になり、企業の競争力を大幅に向上させることが期待されています。
背景と旭化成の戦略
旭化成の「中期経営計画 2027 ~Trailblaze Together~」では、エナジー&インフラ事業が戦略的育成の位置づけとして扱されています。この事業では、水電解や食塩電解関連の技術が核となり、今後の市場投資が予定されています。これまで1975年から行ってきた食塩電解事業で培った技術とノウハウを活かし、クリーン水素製造市場でもリーダーとしての地位を目指す方針です。
これまでの技術検証を基に、2010年からアルカリ水電解システムの量産化を進める準備をしてきました。そのため、今回の新工場の建設は、将来のエネルギーシフトにおいて重要な役割を果たすと見込まれています。また、GX推進を行っている経済産業省との連携も進め、水電解分野でのリーディングサプライヤーとしての地位を確立する意向です。
新工場の詳細
この新工場は、位置する川崎製造所で建設され、具体的には以下のような内容になります。
- - 所在地: 旭化成株式会社 川崎製造所(神奈川県川崎市)
- - 生産予定品目: 水電解および食塩電解用の電解用枠・電解用膜
- - 生産能力: 年間の生産能力は2GW超を見込んでいます。
- - 投資額: 約310億円(そのうち最大で1/3がGXサプライチェーン構築支援事業の補助金)。
- - 完成予定: 2028年度内に竣工し、生産を開始する予定です。
この新工場は、旭化成が長年の技術と研究を基に創り出すもので、クリーン水素と基礎化学品の両方の市場に応じた柔軟かつ強靭な供給体制を構築することを目指しています。その結果、水素社会の形成だけでなく、国内外の産業競争力の強化にも寄与することが期待されています。
新工場が稼働することで、旭化成は新たな成長の道を模索するとともに、水素関連事業への先行投資を進め、未来の持続可能なエネルギー社会の実現に向けた取り組みを強化していきます。