都市生活の孤独を癒す「間(ま)のある暮らし」
新しい住まいのかたち
現代の都市生活において、多くの人々が直面している問題の一つが孤独感です。特に都市部では、単身世帯の増加や仕事のスタイルが変化したことにより、人とのつながりが希薄になってきています。こうした社会課題の解決に向けて、株式会社コスモスイニシアは、建物再生の専門企業である株式会社ヤマムラとの共創により「都市部における孤独」にアプローチした新たなリノベーションプロジェクトを発表しました。
「間(ま)のある暮らし」の思想
このプロジェクトでは、東京都文京区に位置する『湯島ハイタウン』の1室を舞台に、孤独感を和らげ、他者との関係性を自由に調整できる住まいを提案します。具体的には、「つながりを押しつけず、つながる余白を持つ」というテーマのもと、居住空間に「間」を設けることで、住む人が一人でもまた誰かと一緒でも快適に過ごせるよう設計されています。
プロジェクトの意義
内閣府による2024年の調査で、約40%の人々が孤独感を持っているという結果が報告されています。特に、2050年までには単身世帯が全体の44%に達するとの予測もある中、リモートワークの普及やプライバシー意識の向上が、人との自然な関わりを減少させています。こうした背景を踏まえ、コスモスイニシアは「間(ま)のある暮らし」を通して、心地よく過ごせるスペースを実現することを目指しています。
空間設計の工夫
『湯島ハイタウン』の住戸は、家の中で『ひとり』と『誰か』の間や『閉じる』と『開く』の間をゆるやかに行き来できる柔軟性のある設計になっています。具体的には、以下の工夫が施されています:
- - 通り土間:玄関から奥まで続く土間が、屋内と屋外の境界を融合させます。
- - R型キッチン:曲線的な動線で視線や気配が交わり、料理を通じた交流を促進します。
- - 古材の雪見障子:やさしく光や人の気配を透過し、安心感を提供します。
- - 可動建具の壁:空間を広く使いたい時や、静寂を求める時にフレキシブルに対応します。
職人による手仕事で仕上げられた古材など、量産品では得ることができない質感と温もりが空間に豊かさを加えています。
湯島ハイタウンの魅力
『湯島ハイタウン』は、都市の中でもまるで「まち」のような関係を築くことができる集合住宅です。建物内には喫茶店やパン屋などの店舗が軒を連ねており、住人たちの自然な交流が育まれています。また、自主的にサークル活動や同好会が立ち上がるなど、コミュニティの成立を促す環境が整っています。これにより、住んでいる人たちのつながりがより深まります。
今後の取り組み
コスモスイニシアは、今後も「間(ま)のある暮らし」の考え方を生かしながら、都市部における新しい居住空間を展開していく予定です。既存の集合住宅の価値を再発見しつつ、人と人とのつながりを深めるための住まいの提案を続けていく所存です。
本プロジェクトにより、都市生活の孤独という課題に新しい解決策を見出し、より充実した暮らしを提供することを目指していきます。私たちの住まいから、新たな価値が創造されることを期待しています。