ジェイテクトが挑む新たな工作機械軸受の未来
株式会社ジェイテクトは、高速回転に最適化した工作機械主軸用の軸受「ハイアビリーJFAST」を開発しました。この製品は、グリース潤滑を可能にすることで環境負荷を軽減し、効率的な生産を実現します。2024年11月に東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)」に初めて出展される予定です。
開発の背景
ジェイテクトは、「モノづくりとモノづくり設備でモビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダー」というビジョンのもと、テクノロジープラットフォームを活用し、製品や製造設備に関する革新的な技術を集約しています。このプラットフォームを駆使して、顧客のニーズに応えるソリューションを提供するためのセンターを設立し、社会の課題解決に取り組んでいます。
「ハイアビリーJFAST」は、2年前のJIMTOF2022で収集したお客様の声を基に開発されました。工作機械では、高速回転の軸受には通常、オイルエア潤滑が用いられていますが、エア使用による高い消費電力が問題視されていました。そこで、ジェイテクト独自の保持器設計技術を盛り込むことにより、グリース潤滑での高速回転を可能にし、省エネとCO2削減を実現したのです。
ハイアビリーJFASTの特長
この新しい軸受は、PEEK樹脂製の保持器を利用し、グリース潤滑用に最適化されています。その結果、高速性と低昇温性に優れています。特に、アンギュラ玉軸受では、自己調査によると世界初のグリース潤滑によりdmn値180万を達成し、昇温は従来品比で約30%低下、グリースの寿命も20%延長されています。
円筒ころ軸受では、グリース潤滑によってdmn値150万を実現し、昇温を約40%低減させています。これらの技術革新により、#40サイズで20,000min-1の回転が可能な主軸を推奨します。この推奨によって、主軸の潤滑方法をオイルエア潤滑からグリース潤滑へ変更することが可能となり、エア消費量を約60%削減することが期待されます。
未来への展望
製造業界において、カーボンニュートラルはますます重要な課題となっています。ジェイテクトは「ハイアビリーJFAST」を用いて、工作機械主軸用の軸受におけるグリース潤滑の需要が増加すると予測しており、製造現場の脱炭素化を後押ししていくことでしょう。
これからもジェイテクトは、顧客や関係者が抱えるさまざまな課題に対し、豊富な技術的経験を基に最適なソリューションを提供し続けることを誓います。今回の技術革新は、工作機械業界に新たな道を切り開く可能性を秘めています。
参考リンク